お笑いタレントのイモトアヤコさん(35)が鳥取県の東京五輪聖火ランナーを辞退したのは「県からの要請だった」と報じたのは共同通信だった。平井伸治知事(59)は「要請はしていない」としていた。そして共同の「鳥取知事が虚偽説明を謝罪」と続く。

この記事からネットでは、イモトさん事務所が県に圧力を掛けた「芸能界の闇」さらに「知事は嘘吐きだ」となっていく。

「お互いこういう形(辞退)で、折り合った」

今回の流れを整理すると、まず平井知事が2021年4月22日の記者会見で、聖火ランナーに決まっていたイモトさんとマラソン銀メダリスト森下広一さん(53)の辞退理由は、越境することでコロナ感染が拡大する可能性があり、またスケジュールが合わない、ということだった。記者がこう質問した。

「我々の認識では県が辞退を要請したとなっている」

平井知事はそれを否定し、聖火リレーは「密」が心配なため公道を走らせない、距離を短くする、という対策を取る。一方でイモトさん、森下さんもコロナ禍の今、地元に戻ることを悩み、また各都道府県で有名人ランナーが辞退している現状がある、とし、

「お互いこういう形(辞退)で、折り合った。是が非でも来てくださいとお願いすれば、もう一回考えるか、ということもあったかもしれないが」

と説明した。こういうことはオリンピック委員会が決める事であり、県には権限が無い、とも語った。イモトさんは同日、Instagramに辞退理由をこう綴った。

「そもそも辞退の要請などはしておりません」

「『鳥取県実行委員会からの感染拡大の懸念により著名人の公道走行は御遠慮頂きたい』と要請があったこともあり、このような決断(辞退)させて頂きました」

「私が公道をランナーとして走ることで人がたくさん集まってしまうのではないかということがわたしの一番の懸念点です」

公道を走りたかったが、県の要請でそれができないし、コロナが心配だから辞退した、と読める。

その夜、共同はこういう記事を配信した。「イモトさん、リレー辞退理由訂正 鳥取県の当初説明は誤り」。

「県は、著名人が公道を走ることで観客が密集し、新型コロナウイルスの感染リスクが高まることを避けたいとして、大会組織委員会を通じて2人の事務所に辞退を要請していた。2人とも『県の思いを理解して辞退を決断した』と説明しているという」

つまり、平井知事の会見での説明を否定したわけだ。情報は知事会見後の取材から。つまり県が発表したものではなく、独自取材。NNJニュースが県に5月21日に取材したところ、

「このようなことは言っておりませんし、そもそも辞退の要請などはしておりません」

という。

共同は5月20日、「鳥取知事が虚偽説明を謝罪 イモトさん聖火辞退巡り」を配信する。これがYahoo!ニュースの閲覧ランキングトップになり、多くの地方紙が記事を転載し配信。ロイターといった海外メディアも転載したため、「芸能界の闇」、さらに「知事は嘘吐きだ」、と大騒ぎになって行く。

(後編に続く)

(後編)

芸能界の闇は深く?鳥取県知事は嘘吐き?共同通信の発信力の強大さが事実を捻じ曲げる恐怖(後編)

https://nnjnews.net/?p=3205

(リンク)

共同通信「鳥取県の当初説明は誤り」

https://this.kiji.is/757913969930633216