お笑いタレントのイモトアヤコさん(35)、オリンピックメダリストの森下広一さん(53)が鳥取県の東京五輪聖火ランナーを辞退した件で、平井伸治知事(59)は2021年4月22日、「密」を避けたい県と、コロナ禍で参加に悩む著名人と「折り合った」結果、辞退の申し出があった。「辞退を要請していない」と発言した後、共同通信は「鳥取県の当初説明は誤り」との記事を配信した。どうしても県の「要請」にしたかったようで2021年5月20日、トンデモ記事を配信した。それがYahoo!ニュースの閲覧ランキングのトップになり、ネット上で大混乱が起きた。
イモト事務所の要望に応じ「説明を変えた」
それが「鳥取知事が虚偽説明を謝罪 イモトさん聖火辞退巡り」という記事である。どう読んでも平井知事が虚偽説明した、と取れる。内容は、
「(イモトさんの辞退は)『県が辞退を求めた』としたのは虚偽だったと明らかにし、謝罪した。実際はイモトさん側から辞退の意向が示されたが、イモトさんの事務所の要望に応じて『説明を変えた』と述べた」
とある。よく分からない文章だが、要は「県が辞退を求めた」と書いたのは4月22日の共同で、平井知事ではない。知事は一貫して「(イモトさんから)辞退してきた」と述べている。そして今回の記者会見は、お笑いコンビ「ガンバレルーヤ」まひるさん(27)が聖火ランナーを辞退した件について。まひるさんが「公道」を走るとオリンピック組織委員会が報道資料を配布。これに県が「公道ではない」と訂正を求めたが、なぜか組織委は応じなかった。騒ぎが大きくなりまひるさんが辞退した、という流れだ。平井知事が謝罪したのは、一連の聖火ランナー辞退のゴタゴタに対してであり、「虚偽説明」ではない。同日に出た米子市に本社があるテレビ局・BSS山陰放送の記事と、共同の記事は全く異なっている。
つまり「間違ったのは共同」というもの
BSS山陰放送によれば平井知事は、
「おひとりたりとも私共の方から聖火リレーを辞退してくれと言ったことはありません」
と語った。そして共同が報じた「県が2人の事務所に辞退を要請していた」ということについて、
「イモトさんや森下さんについては、4月22日の知事の記者会見の後、県の担当部局が『県の意向を受けて辞退された』と補足説明をしましたが、これは関係者とのやり取りの中でこうした説明となり、県から辞退を求めた事実はないということです」
と書いている。つまり「間違ったのは共同」というものだ。
けれども共同の発信力は圧倒的に強く、さらに多くのメディアが共同の記事を転載して配信、それが「既成事実」になった感がある。そもそも「イモトさんの事務所の要望に応じて『説明を変えた』」という記述が意味不明だ。ネットでは事務所が県に圧力を掛け事実が捻じ曲げられた、とされ「芸能界の闇」として騒ぎになった。
NNJニュースが21日に鳥取県のスポーツ課に取材したところ、共同の4月22日の記事「辞退を要請していた」について、
「担当者は『蜜を避けるため有名人ランナーは公道を走らせない』と、オリンピック組織委員会に要請している』ことを、繰り返し説明したものです」
とした。そして、
「知事が言っているように有名人ランナーに対し、辞退など誰も要請していません」
ということだった。
(後編終わり)
(前編)
芸能界の闇は深く?鳥取県知事は嘘吐き?イモトアヤコの聖火ランナー辞退理由をでっち上げた黒幕(前編)
(リンク)
共同通信「鳥取知事が虚偽説明を謝罪 イモトさん聖火辞退巡り」
https://this.kiji.is/767971998
BSS山陰放送「私たちから聖火ランナー辞退を求めていない」