集英社が、「鬼滅の刃」竈門炭治郎の衣装柄を商標登録申請し、却下されたことが分かった。この柄は「市松模様」、海外では「チェック柄」と呼ばれるもので、生地に装飾を加えたものではなく生地の織り方によってできる地模様だから、というのが理由だ。

歌舞伎役者「佐野川市松」がこの袴を着た

集英社が特許庁に炭治郎の衣装柄「市松模様」の商標登録出願(商願2020-78058)したのは2020年 6月 24日。羽織、被服、履物といったファッション柄だけではなく、潜水用耳栓、コンタクトレンズ、レコード、活字、がま口口金、毒つぼ、消印機、アニメーションを内容とする記録済み媒体及び動画ファイル、など膨大なアイテムが商標適用されるとした。

これに対し特許庁は2021年5月26日、「拒絶理由通知書」を出し、却下した。理由として「京屋染物店」のウェブサイトを引用し、「市松模様」は元々日本では「石畳」と呼ばれていて、江戸時代中期に歌舞伎役者「佐野川市松」がこの袴を着たため「市松模様」というのが一般的になった。柄が途切れることなく続いて行くため「繁栄」の意味が込められ、縁起の良い模様として沢山の人に好まれている、とした。そして

「全体として、装飾的な地模様として認識されるにとどまり、かつ、その構成中に自他商品の識別力を有する部分を見出すこともできません」

と結んだ。「地模様」というのは布に何らかのオリジナルの装飾をしたものではなく、布の織り方によってできるもの。

ルイ・ヴィトンが神戸珠数店に出した警告も却下

これと類似の話がある。フランスのルイ・ヴィトンが京都府の神戸珠数店に対し、同店の数珠を入れる数珠袋の柄がルイ・ヴィトンの柄に似ているため「商標の侵害に該当する」との警告書を出した。同店はウエブサイトから同商品を削除しなければならなくなった。この模様も「市松模様」である。ルイ・ヴィトンは2008年1月3日に国際商標登録出願を終えていると主張。同店は特許庁に2020年8月1日、商標権侵害の判定を請求。特許庁は2021年4月14日に「侵害はしていない」との判定を下した。理由は炭治郎の「市松模様」と同様である。

 

(リンク)

特許庁「商標公開2020-078058」いわゆる炭治郎の「市松模様」

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/t0302

 

特許庁「拒絶理由通知書」いわゆる炭治郎の「市松模様」

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/h0101

 

特許庁「判定」ルイ・ヴィトンと神戸珠数店

https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/document/

madopro_sinketsu_20210608/2020_695001.html