イタリアのファッションブランド「ヴァレンティノ(VALENTINO)」の広告が「大炎上」中だ。荒れ地の地面に和服の帯を長く置き、そこをモデルがヒールで歩き、ポーズを取る。また、岩に帯を敷いてそこに腰掛ける。2021年3月29日夜から騒ぎが大きくなり「伝統的な日本の衣装を足げにするのは侮辱です」「職人が見たら卒倒する」「意図的な日本ヘイト」などといった批判が出ている。ヴァレンティノはこの広告を削除したが、キャッシュが残っていて批判は収まりそうにない。

 

モデルは木村拓哉、工藤静香夫妻の長女

 

この広告は2021年春夏コレクションキャンペーンの一環として制作された。問題のシーンはヴァレンティノジャパンの公式HP、公式Twitterで公開された動画に出て来る。モデルは木村拓哉さん(48)、工藤静香さん(50)夫婦の長女でヴァレンティノのキャンペーンビジュアルに起用されている「Kōki」さん(18)。

「Kōki」さんが出演したこのキャンペーン動画はフラッシュで場面がどんどん切り変わる。その中に和服の帯を荒れ地の地面に長く敷き、その上をヒールで歩き、ポーズを取る姿が映っている。また、岩に帯を敷いてそこに腰掛ける姿もある。Twitterでは、

「帯や着物は民族衣装です。 伝統的な日本の衣装を足げにするのは侮辱です。 何かに似ていて嫌な気持ちです」

「あかんよー絶対やめて 悲しいわ 西陣織元より」

「ヴァレンティノのドレスの上を土足で歩く光景を想像していただきたいですね」

「民族衣装(着物の帯)を汚い荒地に敷いて道にする それを他文化の靴(ヒール)で踏みつける 意図的な日本ヘイト 日本舐められすぎ」

などといったコメントが出て大騒ぎになっている。ヴァレンティノは騒ぎが大きくなった29日夜からこの広告を削除しているが、今回の「大炎上」について何の説明もないことに怒りを覚えている人もいる。

 

寺山修司の映画「草迷宮」とは趣が全く異なる

 

それではどうしてこうした広告が作られたのだろうか。ヴァレンティノは「Kōki」さんを起用したこの動画についてこんな説明をしている。「ビジュアルのインスピレーション源は、寺山修司監督の映画『草迷宮』」。

この映画は1979年公開で、泉鏡花の同名小説をもとに、寺山修司と岸田理生の共同脚本で、寺山修司が監督をした。特徴は極彩色でグロテスクな美術にあり、この世のものではない様々な登場人物がいる。「帯のシーン」もあり、帯は家の中から外へと地面に長く敷かれている。それを発見した少年が家の中に入り、家の中で悍ましい体験をして裸で外に逃げ出す。その時に素足で帯を踏むのだが、今回の「Kōki」さんの動画とは全く趣が異なっている。

 

(リンク)

ヴァレンティノジャパンの公式Twitter

https://twitter.com/Valentino_Japan?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

寺山修司監督の映画「草迷宮」(年齢制限あり)

https://www.youtube.com/watch?v=91VN172ejOE

「Kōki」Instagram

https://www.instagram.com/koki/?hl=ja