牛丼チェーンの吉野家が2022年3月24日に謝罪した。キャンペーンでゲットできる丼(どんぶり)に「本名」が書けるという件で、埼玉県川越市のレジャー施設「マヒマヒトランポリンパーク」オーナーが同施設名を入れようとしたところ「どう考えても実名ではない」とし、訴訟をチラつかせたことだ。このオーナーは大の吉野家ファンだった。吉野家は愛好家に対し酷い仕打ちをしている、というのは昔から囁かれていた。
料金を請求「無銭飲食」のような形になる
吉野家は牛丼の普及に貢献した著名人に、今回のような名入りの丼を贈ることでも知られている。その丼を店に持って行けば、牛丼が盛られ代金は無料になるという都市伝説があった。お笑いコンビ「とんねるず」の木梨憲武さん(60)は誰もが知る吉野家ファン。日本テレビ系バラエティー「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」で本当に無料になるのかやってみた。牛丼が盛られ、食べ終わった丼は洗って返され、席から立ち上がったところ、店員に呼び止められた。料金を請求され「無銭飲食」のような形になった。これに激しい批判が起きた。ロケだから、何がここで撮影されるか吉野家は知っていたはずだ。わざと「ノリさんに恥をかかせた」というのだ。その批判のため、吉野家は後に放送された「生ダラ」で、木梨さんに「牛丼並盛り半永久無料カード」を贈っている。
倒産から救った作品のお祝い協賛断る
最も話題になったのは漫画「キン肉マン」の原作者、ゆでたまごの嶋田隆司先生(61)。フジテレビ系「トリビアの泉」で、木梨さんと同じように名前入り丼を店に持って行く企画だった。同じように料金を請求された嶋田先生は唖然、そして激怒した。2010年4月から暴露話が始まる。店にいたのは吉野家の社員。自分を笑って見ていた。実は「キン肉マン」に出て来る牛丼は「なか卯」がモデル。アニメ化する際に倒産寸前の吉野家から懇願され吉野家に変更した。これで吉野家は話題となり業績が復活する。つまり、「タダ同然で宣伝」し倒産から救った自分を吉野家はハメた。また、連載開始29周年のお祭りにあたり集英社が吉野家に協賛を頼んだ。ところが「私どもはやる気はありません」と断られた。代わりに手を挙げたのが「なか卯」と業務提携している「すき家」。「キン肉マン」の牛丼は現在は「すき家」であり、こうした流れが吉野家との決別だった、とした。
吉野家の人権感覚が問われかねんよ
ある男性の話題が2018年2月に沸騰した。自分は吉野家が大好きで、祖父母にも食べさせたい。連れて行ったところ2倍の料金を請求された。その時のお客様相談室との電話のやり取りが録音されていて、ネット上にアップされた。店員に苦情を言うと他人事のような顔をされ、お客様相談室に電話をするように促されたのだという。室長は謝ることなく、祖父母を怒鳴りつけるような対応を取った。室長と思われる男性は、「あなたの責任です。それが答えです」。男性が「どこら辺が悪いんですかね?」と聞くと、それには答えず、訴訟でも起こせばいいんじゃないのか、という趣旨のことを言ってきた。お婆さんと思われる人物が、
「店員の対応が悪かったとか、間違ったとか、謝罪の言葉もないんですかね?」
と聞くと、
「あなたのような方が来ると迷惑です。二度と吉野家に来ないでください」
という返しがあった。
こうした一連のことが「愛好家に対し酷い仕打ちをしている」という評価になっている。今回の「マヒマヒトランポリンパーク」オーナーの件についてTwitterでは、
「吉野家お客様相談室は何も変わらないでしょう。(謝罪文は)Twitterで晒された事に対してとりあえず対応しただけに見えます」
「残念な対応ですね。あの文章はクレーマーの類に対する、決め打ちのあしらい方に感じました。(パークのオーナーに)お詫びの一言あって然るべきなのに」
「謝罪文の最後に以上と書きますかね?何か何もかもが端から見てて納得いかないです」
「吉野家は値打ち下げたよなー。吉野家の人権感覚が問われかねんよ。店舗の人達の頑張りを消し去る暴挙」
などといったことが投稿されている。
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吉野家のお客様相談室室長とされる電話のやり取り録音。「yamada」さんのTwitter