東京都の緊急事態宣言下でも営業は続ける、としていた浅草演芸ホールなど都内の4寄席が一転、5月1日から11日まで休業する。
営業を続ける「英断」を応援する動きは大きかったが、一部の大手メディアは「寄席の反乱」として取り上げ、複数の閣僚の記者会見でこのことを質問。演芸ファンの閣僚でも「政府の指示に従うのが当然だ」としか回答する術はなく、東京都が「休業要請」した、というのが実態だ。
「寄席の反乱」と騒ぎ立てる一部メディア
政府は2021年4月23日、東京都など4都府県に25日から緊急事態宣言を発令すると発表。東京都は演芸場に対し「無観客開催」の要請を行った。浅草演芸ホールなど4寄席(鈴本演芸場、新宿末広亭、池袋演芸場)は24日、公式ホームページに「4月25日からの営業のご案内」を掲載。「無観客開催」は「社会生活の維持に必要なものを除く」という項目があり、大衆娯楽の「寄席」は、この「社会生活の維持に必要なもの」に該当すると判断。
「4月25日以降も通常通り営業することといたしました」
とし営業を続けてきた。これが「よくやった!」などとネットで喝采され、大手メディアも応援する内容の記事を出すことになる。ところが、「寄席の反乱」として取り上げる一部の大手メディアもあった。26日に西村康稔経済再生担当相の記者会見、27日には小泉進次郎環境相、加藤勝信官房長官に対し「寄席の反乱」の質問があった。小泉環境相、加藤官房長官はともに寄席好きとして知られるが、この質問には「政府の指示に従うのが当然だ」としか回答する術はなかった。
このような形で休館せざるを得ないのは残念
浅草演芸ホールは28日、
「東京都から演芸場(寄席)に対する『無観客開催要請』は、我々の商売の性質上受け入れ困難として、有観客開催を継続してまいりました」
と説明。しかし28日、東京都から「休業要請」の打診があり、東京寄席組合、落語協会、落語芸術協会と協議をし、5月1日~11日の営業を「やむなく」休止することになった。
「このような形で休館せざるを得なくなりましたこと誠に残念ですが、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、ご理解賜りますようお願い申し上げます」
とHP上で謝罪した。
NNJニュースが30日、落語協会に話を聞いたところ、
「休業要請ですから、このような形になりました」
とした。
(リンク)
「寄席公演休止のお知らせ」落語協会公式HP
https://rakugo-kyokai.jp/news/4370/
「寄席休業について」落語芸術協会公式HP