中国が打ち上げた大型ロケット「長征5号B」が制御不能になり、2021年5月8日か9日あたりに大気圏に再突入。大きな残骸が地上に落下する、とした米国防総省の発表に対し、中国共産党機関紙「人民日報」傘下の環球時報はWEB版で6日、「西側諸国の作り話し」とする記事を掲載した。制御不能にはなっておらず、正確に計算されたものだという。

9トンの破片が地表に落下する?

今回のロケット片落下騒動は昨年5月5日、中国が「長征5号B」を使い有人宇宙船試験船を宇宙に送ることに初めて成功した、ことから始まる。この宇宙ステーションに設置するコアモジュール(3人用居住区施設)を「長征5号B」で今年4月29に打ち上げたのだ。米国防総省はこのロケットが宇宙に出た後に制御不能となり大気圏に再突入する、と発表。行方を追跡していると明かした。9トン程度の破片が燃え尽きずに地表に落下する、とする専門家もいる。

「制御不能」ではなく正確に計算されている

これに対し環球時報のweb版は6日、西側のメディアはまたもや「制御不能な中国のロケットの残骸の脅威」を誇大宣伝している、とする記事を掲載した。2020年5月5日に宇宙ステーションの打ち上げに成功した時から使われるようになったものであり、当時から中国の宇宙機関と専門家が説明を繰り返してきた。大気圏に再突入したとしてもロケットは主にアルミニウム合金製であるため大気中で容易に燃焼する。そのため破片が地面に害を及ぼす可能性は低い。さらにその飛行軌道は「制御不能」などではなく、正確に計算されていて、ロケット不動態化技術を使用することによって、軌道上での飛行時間を意図的に短縮している、という。そして、専門家の話を引用。

「私たちのような責任ある航空宇宙大国は人類が宇宙に出てから60数年間、軌道上でロケットを爆発させたことも、落下した破片で人を傷つけたこともありません。それは任務を終えたロケットの最終処理をきちんと行っているからで、爆発のリスクを無くすのはもちろん、場合によっては動かなくなる前にロケットの軌道を変更し、問題のない軌道へ移すこともできるからです」

などということを書いている。

 

(リンク)

環球時報WEB版(2021年5月6日)

https://world.huanqiu.com/article/430Nu0piHaW