大企業に勤める入社5年目の女性正社員のうち約6割が「管理職を目指したくない」のだという。「目指したい」男性正社員が9割近いのと比較すればその差は大きい。男女雇用機会均等法施行から35年たち、2016年4月の「女性活躍推進法」では女性の管理者を20年までに30%にするとしていた。この結果にネットでは、「フェミニスト激怒www」などといった笑い声も出ているが、どうして女性は管理職を目指さないのだろうか。

「仕事と家庭の両⽴が困難になる」

この調査は独立行政法人「国立女性教育会館」が2020年5月28日に発表したもの。同法人は15年から毎年一回、正社員800人以上の企業を対象に男女正社員の意識の変化を調査している。今回は入社5年目の男女726人が回答した。

それによれば、管理職を「目指したくない」「どちらかといえば目指したくない」と答えた女性はそれぞれ25.6%、33.6%の計59.2%いた。男性はというと、「目指したくない」「どちらかといえば目指したくない」は15.1%、4.2%の計19.3%。「目指したい」「どちらかといえば目指したい」がそれぞれ46.6%、33.7%の計80.3%となり、男女ではかなりの格差が出た格好だ。
ではなぜ女性は管理職を目指さないのか。複数回答で「仕事と家庭の両⽴が困難になるから」が最も多く69.3%、次いで「責任が重くなるから」が48.9%、「⾃分には能⼒がないから」が40.1%、「仕事の量が増えるから」が33.6%と続いた。
女性の活躍を推進させようと、政府や自治体、市民活動家などが声高に叫んでいるが、こうした結果にネット上では「フェミニスト激怒www」などといった声も挙がった。そしてこんなコメントが掲示板に寄せられている。

「出世意欲」と「仕事に対する熱意」は別問題?

「結果これでしょ?男女平等の際に差別無くせ!ってなるのに」
「女性進出とか言いながら面倒な管理職は嫌いってか」
「上に行きたい人が少なくて、ポンコツの私が出世しちゃったよ。会社としては損害だと思う」
そのほかに、女性が管理職を目指さないことについては、
「仕事に対する責任を軽く思ってるんじゃなくて、子供がいるからどうしようもないっていうこと」
「責任ある仕事についちゃうと、家庭で何かあった時に周りにかける迷惑がハンパないからだよ」
などといったものもある。そして、出世を目指さないのは「仕事に熱意がない、頑張らない」ということでは全くない、「むしろ頑張っている」との反発の声も多いのだ。

人と組織に関する調査・研究を行う「パーソル総合研究所」が発表した「働く1万人の就業・成長定点調査2018」によると、女性の活躍を阻害する要因のひとつが女性側の意欲の低さとされているが、それは違う、としている。
同研究所調査によれば、管理職になりたい正社員は20代男性で44.7%、女性が18.7%、30代では同38.3%、17.5%と開きはあるが、仕事での成長をどれくらい重視しているかという「成長意欲」があるかどうかで見ると、20代男性が74.0%、女性が83.2%、30代の男性が76.6%、女性が85.2%と女性が男性を上回っている。女性が管理職になりたくないからといって「成長意欲が低い」わけではなく、また、「成長意欲の低い」男性の20%が管理職になりたいと思っているのだそうだ。

(リンク)

「国立女性教育会館」

https://www.nwec.jp/

「パーソル総合研究所」

https://rc.persol-group.co.jp/