ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑・京大特別教授に関する報道記事に批判が集まっている。大手メディアの多くは「京都大学・本庶教授 『22億円』の申告漏れ 国税が指摘」と見出しを打ったからだ。
本庶教授は製薬会社からの特許料などを「受け取り拒否」していて、自分の懐には入れていないし、そのお金は製薬会社が法務省に「供託」しているものだった。そのため本庶教授を犯罪人のように表現するのは「悪意がある」というのだ。

 

申告漏れを指摘されたのは「受け取り拒否」をしていたお金だった

 

読売新聞オンライン(2020年9月10日配信)などの報道によれば、本庶教授が、大阪国税局から2018年までの4年間で約22億円の申告漏れを指摘されていた。過少申告加算税を含めた追徴税額は約7億円。教授はすでに修正申告し、納付しているという。
ところがなんと、教授は、申告漏れをしたとされるお金の「受け取りを拒否」していたというのだ。
実は、06年に小野製薬工業と教授は特許の使用契約を結んだが、教授は対価が低すぎるとして受け取りをずっと拒否していて、小野製薬工業はそのお金を、法務局に「供託」した。その受け取っていないお金に申告漏れとして追徴税がかけられた。

申告漏れを指摘された理由としては、「供託」されていたとしても「課税対象となる所得」に該当すると大阪国税局が判断したからだ。所得税法は「契約で金銭などを受け取る権利が確定した時点で課税対象の所得となる」となっているからだという。

教授と製薬会社の裁判はドロ沼化していて、今回の記事だけ読めば「銭ゲバ」的に報酬の増額を求めているように感じるが、教授サイドとしては、小野製薬工業に対し支払金額の「約束」を守らせたいことはもちろんだが、研究者としての製薬会社への貢献、今後の研究者たちの立場など、踏みにじることは許さない、という強い決意があるようだ。

 

「本庶先生は悪くないのに、脱税していたような見出し」

 

ただ残念なことに、国税局の指摘で払った約7億円は、受け取り拒否をしていた「供託」から支出することになってしまった。
読売オンラインなど大手メディアの報道では、
「本庶氏が22億円申告漏れ…国税局、供託された特許薬対価を『所得』と判断」となっている。
これに怒りを覚える人も多くいて、
「このタイトルの切り取りとイメージ操作のような書き方」
「これって本庶先生は悪くないじゃん。どうして、まるで本庶先生が脱税していたような見出しにするのか?」
「まるで本庶氏が金に汚いみたいなミスリードの見出しだな。何か国税局に圧がかかった?」

「本庶氏は受領拒否をしているため、所得としてカウントすることがナンセンスではないか」
などといった書き込みが掲示板に出ている。

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京都大学高等研究院公式HP

プロフィール:本庶 佑