「新型コロナの重症化は血液型で異なる」という研究結果が発表され、2021年5月18日に朝日新聞や日本テレビといったメディアで大々的に報道された。O型に比べAB型は重症化リスクが1.6倍になるという。

ネットでは「血液型占い」のようで信じられない、人間を4タイプだけに分けるのは無理がある、と感じる人も出ている。実はアメリカの医学サイトでは「血液型は関係ない」という論文が出ている。

O型に比べAB型は重症化リスク1.6倍?

血液型別の重症化を研究したのは、慶応大や東京医科歯科大など研究機関共同研究チーム「コロナ制圧タスクフォース」。それによると、最も重症化リスクが低かったのがO型で、A型、B型は、O型の1.2倍のリスク。そして最も重症化リスクが高いのはAB型。O型に比べると1.6倍になるという。これは日本人のデータを大規模ゲノム解析した結果で、新型コロナで重症化した65歳未満の440人と、コロナ以前から集めていた65歳未満の2377人の血液型を比較した。しかし、同じ分野の専門家による評価や検証前であり、さらに研究を進めて行く。血液型での重症化予測ができれば、入院判断の評価基準になり、最終的には新薬の開発につなげるのだという。

ネットでは「やはり血液型は免疫と関係していた」「昔からO型は免疫が強くABは弱いとされていた」などと大騒ぎになっているが、

「サンプル数440人って少なくないか?」

「血液型で人間を4タイプに分けるほうが無理がある」

「1.2倍とか誤差の範囲じゃねえかよ」

「コロナ脳によるAB型いじめが始まった」

といった懐疑的なものもある。本当に血液型だけで重症化リスクが図れるのか。

血液型ではなく遺伝学、地理学、およびウイルス株の研究を

実は米国医師会によって発行されている「米国医師会雑誌」(JAMA)があり、そのウエブサイト「JAMA Network」に論文が掲載されている。2021年4月5日のもので、タイトルはアメリカにおける「血液型とCOVID-19リスクとの関連」。結論から言うと「関係が無い」というものだ。

論文によれば、中国からの初期の報告ではA型は新型コロナに感染しやすく、O型は感染しにくいという報告があった。その後、イタリアとスペインの研究で、A型は重症化しやすく、O型は重症化しにくいと報告された。そのためジェフリーL.アンダーソン博士らがそれを検証するためユタ州、アイダホ州、ネバダ州にある24の病院と、215の診療所のデータを使い、感染の検査を受けた合計10万7796人、うち感染した1万1000人以上を調査した。その結果、

「感染しやすさ、重症化しやすさのいずれもABO関連(血液型との関連)は見つかりませんでした」

となった。ABO遺伝子は非常に多型であり、祖先や地域によって異なっている。さらに、感染者がどんな場所で生活し、どのような動きをしたのか、また、免疫力など遺伝的な資質もある。

「重症度の決定要因として血液型を受け入れる前に、遺伝学、地理学、およびウイルス株を厳密に管理するといった追加の研究が必要です」

と結んでいる。

 

(リンク)

JAMA Network「血液型とCOVID-19リスクとの関連」

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/

fullarticle/2778155?utm_source=For_The_Media&utm_medium

=referral&utm_campaign=ftm_links&utm_term=040521

 

「コロナ制圧タスクフォース」公式HP

https://www.covid19-taskforce.jp/