NHK大阪拠点放送局は2022年1月9日に記者会見を開き、昨年12月26日に放送した「BS1スペシャル『河瀬直美が見つめた東京五輪』」のテロップに誤りがあったと謝罪した。東京五輪反対デモに参加したという男性がお金をもらって動員されたという部分だ。男性はデモに参加したかどうか記憶が曖昧だったという。ところが、である。今回話題になったのは、デモに参加するとお金がもらえるという部分。かつて「ニュース女子」が、沖縄・高江のヘリパッド建設工事反対デモ参加者に日当が出ていると報じ、それは事実無根だと大騒ぎになり、BPOが審査に入り結果的に「ニュース女子」は打ち切りとなった。
男性の記憶が曖昧で事実かどうか分からない
堀岡淳局長代行は記者会見でこう語った。男性は取材時に複数のデモに参加して現金を受け取ったことがあり、五輪反対のデモにも参加しお金を受け取るつもりだ、と話していた。視聴者から事実なのかとの問い合わせが相次ぎ、男性に確認したところ、「五輪反対デモには参加していない」との答えだったが、男性の記憶は曖昧だった。そのため男性の話が事実かどうかはわからない。取材担当者と男性とのコミュニケーション不足と参加したと「思い込んで」あのようなテロップを作ってしまった。番組の取材・制作は全てNHKの責任だとして謝罪した。するとこんな書き込みが掲示板に出た。
「実際に参加したかどうかは確認していないとのことだが、お金で動員されているかどうかは確認したのか?この部分を曖昧にした謝罪には意味がない」
今回注目されたのは、五輪反対デモに参加した人に報酬が出た、というよりも、5輪反対デモを含めデモに参加すれば報酬がもらえるシステムになっているのか?という点だったからだ。「ニュース女子」はこの報酬を報道したことがきっかけで、打ち切りになった。
沖縄の米軍基地反対運動は日当があった?
「ニュース女子」は2017年1月2日に放送した第91回で沖縄の米軍基地反対運動を取り上げ、運動に参加している人は何らかの組織に雇われ日当が支払われている。そして、外国人が多いなどと伝えた。これに反対活動家は、日当など出ているわけはなく、あたかもお金が目的の運動であるかのように報じたと激怒した。BPOが審査を行い放送したTOKYO MXに重大な倫理違反があったと断定。「ニュース女子」は地上波から姿を消すことになった。ネットに移行するもこの問題が長引いたことが原因で、2021年3月で終了する。市民団体「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉(62)さんは、DHCテレビなどに1100万円の損害賠償を求め、東京地裁は2021年9月1日、同社に550万円の支払いと謝罪文の掲載を命じた。一方で、問題となった放送分は「削除の必要はない」となった。これによって同社は「誤報と認定されなかった」とし、「まぁまぁ勝訴」とした。
こうした経緯によりネットでは今回の騒動を「NHKのニュース女子化」と捉える向きもある。NHKがデモ参加者への報酬について言及しなかったこと、「ニュース女子」の動画に削除命令が出なかったことなどから、ひょっとすればひょっとするとし、
「NHKはデモのカネの流れを解明するためのドキュメントを作るべき」
といった意見も出ている。
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(リンク)
NHK「BS1スペシャル『河瀨直美が見つめた東京五輪』について