「この恩義は、永遠に我々の記憶に残るでしょう」「私たちはこれからも台日友好を推進します」―――124回万分のワクチンを無償提供した日本政府と国民に対し、台湾の130もの企業や団体で構成した「台湾人有志一同」が2021年6月13日、新聞の全面広告2枚に感謝を綴った。

しかし、「日本政府と国民への感謝」なのに、掲載されたのは他大手と比べ発行部数の少ない産経新聞のみだった。広告の形態から見て、産経新聞のオリジナル広告とは考えにくい。いったいどうしてなのか?

東日本大震災の支援感謝広告から台湾を外した過去

感謝の新聞広告としては、東日本大震災で世界各国から多くの支援を受けたとし、日本政府は米国、英国、韓国、中国、ロシア、フランスの6カ国7紙の新聞に感謝広告を掲載した。ところが、最も多い義援金をもらった台湾が外れていて、「中国への配慮か?」といった噂が流れた。これに憂いた日本の有志が立ち上がり「謝謝台湾計画」を開始。6000人を超える人々から2000万円近い募金を集め2011年5月3日、台湾の最大手新聞「聯合報」と「自由時報」の朝刊に、「日本志同道合者」の名義で「ありがとう、大彎」の文字が新聞広告に踊った。

発行部数の多い朝日や読売を使わないか?

「ありがとう日本!」「患難見真情(まさかの時の友こそ真の友)」と書かれた新聞全面広告は、見る人の心を強く打った。真心が伝わって来る紙面だという。ところがネットでこんな声が挙がる。

「産経新聞だけ?」

「広く感謝を伝えるなら発行部数の多い朝日とか読売を使わないか?」

日本の有志が感謝を伝えた台湾の新聞2紙も、最大手の新聞である。考えられることは2つ。この広告は産経新聞のオリジナルであるため、他の新聞には掲載されない。もう一つは産経新聞のみ引き受け、他の新聞は掲載を断った、である。NNJニュースは今回の広告が掲載されたことを台湾のHP上で伝えた、日本での大使館にあたる「台北駐日経済文化代表処」に取材した。が、

「感謝広告の掲載については、日本の当代表処広報部を経由したものではありませんので、大変恐縮ですが、詳細や経緯については、わかりかねます」

ということだった。

台湾と産経新聞は親しい関係だからです

6月21日に産経新聞に話を聞いたところ、

「この広告は産経新聞のオリジナル広告ではありませんが、産経新聞だけの掲載になっています」

という。広告の掲載が台湾側から申し込まれたため掲載したのだという。どうして産経新聞だけなのかというと、台湾と産経新聞は親しい関係だからだ、とした。他の新聞は掲載を断ったのかについては、

「断ることは無いと思いますけどね。広告ですから」

ということだった。

 

(リンク)

産経新聞「台湾発『ありがとう日本』ワクチン提供に産経新聞広告で

https://www.sankei.com/article/20210

613-KMKLKJWFKZIIZE3UBHQCMFPXCU/

 

台北駐日経済文化代表処HP

https://www.roc-taiwan.org/jp_ja/index.html