テレワークをやめる企業が増えている。その理由は生産性が低下したからだ。新型コロナウイルスの感染を防ぐための在宅勤務として注目され、政府も新しい勤務形態を目指してきたが、ネット上では「テレワーク=さぼり」との議論も活発化し、展開には様々な壁があったようだ。
そもそも生産性や効率ではなくコロナ禍が原因で始まった
東京商工会議所が2020年11月4日に発表した「テレワークの実施状況に関するアンケート」によれば、前回調査(2020年5月29日~6月5日)に比較し、今回調査(9月28日~10月12日)ではテレワークの実施率は67.3%から53.1%に14.2ポイント減少した。また、テレワークを経験した会社は75.2%あり、それが53.1%と22.1%減小した。
取りやめた理由は①営業は取引先との細かい摺り合わせが難しく、そもそもオンラインでの打合せに対応できない取引先も少なからずある②事務などセキュリティ面で不安があった③建設業では事務職でも現場や営業と細かなやり取りが必要で生産性が下るーーなどを挙げている。
全業種の中で建設業は実施率が41.0%と一番少なく、取りやめた割合は32.4% と最大。経験率では小売業の61.1%が最低。
そもそもなぜテレワークを継続しているかといえば「社員の出勤人数を抑制(三密回避)」(82.9%)が最大で、次に「感染症流行時等における事業継続性の確保」(75.7%)であり、コロナ禍がなけれテレワークは実施しなかったのではないか、ということになる。テレワークをやめた理由は「業務の生産性が下がる」の45.7%が最大で、一度もテレワークをしていない理由として「可能な業務がない」の55.6%が最大だった。
「家庭に居場所がない中高年からしたら地獄らしい」
一方で日本経済新聞の電子版が10月7日に伝えたテレワークに関する9月下旬の調査では、生産性は「変わらない」が42.2%の最多で、「上がった」(31.2%)と「下がった」(26.7%)で評価が分かれた。
下がった理由は「同僚、上司や部下とのコミュニケーションが取りにくい」、「私生活と仕事の切り替えが難しいが1位、2位となった。つまり、会社からの直接の目が届かない場所で仕事をすることになるわけで、これに関してはかねてからネット上で「テレワーク=さぼり」という議論があり、
「午後になったら本気出す たぶん」
「テレワークたまにだからサボってるけど こんなん毎日やってたらまともに仕事できる気しない」
「人生の無駄遣い」
などといったことが囁かれている。
テレワークをやめる企業が増えていることについて掲示板には、
「通信大学が卒業難しいのと一緒 サボってしまうからね」
「そもそも生産性が上がるならコロナ前から飛びついている」
「家庭に居場所がない中高年からしたら地獄らしい」
「テレワークで済む仕事は委託でいい。テレワーク正社員は要らない」
また、
「生産性は落ちるけどストレスから解放されて最高だわ」
などといった意見が書き込まれている。
(リンク)
東京商工会議所のテレワーク調査
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1022366
日本経済新聞テレワーク記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64695540W0A001C2EA2000/