法務省が離婚後の「共同親権」意見公募　「共同出来ないから離婚したはず」「別れた後も支配されるの？」

法務省は2022年12月２日、離婚後の子供の「親権」に関するパブリックコメント（意見公募）を６日から始めると発表した。来年２月１７日まで実施する。

現在の日本の制度は「単独親権」。世界的には「共同親権」が一般的とされる。日本は母親が親権を持つのが一般的であるため、国際結婚が破綻した場合、日本に子供を連れて戻ったりする。それが「連れ去り」に当たり、「親による誘拐容疑」で国際逮捕状が出される。ただ、世界がそうなっているとしても、「共同親権」は問題があるのだそうだ。

単独親権は「家父長制」からの流れ

法務省が意見を公募するのは①単独親権のみを維持②共同親権のみにする③原則、例外は設けず個別案件とする、の大きく３つだ。格闘家の才賀紀左衛門選手(33)とあびる優さん(36)の娘さん(7)の親権争いで話題の「違法連れ去り」ではないが、少子化のなか単独親権の弊害がクローズアップされている。一方が親権を独占するため、離婚時に親権争いが起こり、親権の無い親は子供に会えないと嘆く。また、親権が無いことを理由に養育費を払わない、などのゴタゴタがある。

日本にはもともと「家父長制」があり、家族の統率権限は家父長（戸主）が持った。そして父親の支配下に子どもがいたことで、離婚した場合は母親が単独で家を出た。戦後にこの制度は廃止されたものの、単独親権の考え方は継承された。現在は子供の養育は母親が適するとの「母性優先の原則」のなか、親権は母親が持つというのが一般的になった。

「子供連れ去り」で国際逮捕状

国際結婚が破綻した場合、日本人女性は日本に子供を連れて戻ろうとする。ところが世界の大半の国は共同親権だからトラブルになる。ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)は国境を越えた子どもの連れ去りを防止するもの。日本も14年に署名したが、「子供連れ去り」が起こると世界から日本の単独親権に批判が浴びせられる。昨年11月末にはフランスの司法当局が日本人妻に対し誘拐などの容疑で国際逮捕状を発行した。それは３年前に２人の子どもを連れて無断で家を出た、というもの。共同親権であれば、こうした訴えができるのが当然だ。日本を共同親権にしよう、というのはこんな海外からの圧力もある。

日本子どもにマッチしている制度は？

共同親権のメリットは先の単独親権のデメリットが緩和されること。さらに一人ではなく二人の親の愛情が注がれ、子供が守られることだ。子供は「両親」と交流できる。ところがである。「両親」が対等に親権を持ち、一緒に子供を育成するわけだから、「夫婦」のように子供に対し共同歩調を取らなければならない。果たして、離婚するほど仲が拗れている2人。DVや薬物、経済的な問題、精神的な問題がある離婚だった場合は特に、共同歩調など取れるのだろうか。

共同親権のデメリットとして挙げられるのが①子供は親と別々に会うことになり、時間と生活の負担が増える②どちらの親が生活の基盤なのか戸惑う③教育方針がバラバラの場合がある④両親の家が相当離れている時はどうするのか。また、世界のスタンダードだとしても、日本で暮らす日本の子供たちにマッチしているのか。