国民的アニメ「ドラえもん」は2020年の今年がコミック連載開始から50周年。「ドラ泣き」のキャッチフレーズを付け、大人もターゲットにする3DCG映画「STAND BY ME ドラえもん 2」が絶賛公開中だ。

そうした中、現在ネットを賑わせているのが「『しずかちゃん』のお風呂シーンを止めて」という運動だ。しずかちゃんは1日に3回以上お風呂に入るキャラで、何かの間違いで『のび太』がそこに遭遇、「のび太さんのエッチ!」とお湯をかけられるのが定番のギャグになっている。これが男性の女性に対する「性加害」であり、許せない、というのが理由だ。

一生の恐怖を植え付けられる!?

署名サイト「Change.org」(チェンジ・ドット・オーグ)に12月3日、

「#ドラえもんのお風呂シーンのカットを希望します」

という訴えが掲載された。同様のハッシュタグはツイッターにも設定された。のび太によるしずかちゃんのお風呂覗きシーンは「性加害であり、いたずらで済まされる行為ではありません」。被害を受けた女性は心に深い傷を負い、男性と関わることや、お風呂に入ることに一生続く恐怖を植え付けられる可能性、とした。それを影響力のある子供向けアニメでやっていると主張。ただし、原作に対するリスペクトもあるようで、既存の話はお風呂シーンをなるべく避ける、やむを得ずシーンを出す場合は「本来は犯罪で許されない行為である」と注釈を入れる、などとした。署名は5日午後3時までに644人の賛同を集めている。

実はこのしずかちゃんの入浴シーン、平成11年(1999年)の「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」から度々話題になっていたことで、特に新しい話ではない。

テレビ版は修正がされた

「児童ポルノ禁止法」が改正された2014年、3月7日にテレビ朝日系でオンエアされた劇場版「のび太のひみつ道具博物館」(劇場公開は13年3月9日)では「ハイパー掃除機」が登場し、しずかちゃんの服を下着ごと破いてしまう。しずかちゃんは手で隠すものの、一瞬だがお尻の割れ目が映る。テレビ版では白い光線によってしずかちゃん全体を隠す修正がされた。この時はネットが「映画とは違う」と騒然となり、

「しずかちゃんの入浴シーンまでダメになるのかよ」

という声が出た。テレビ朝日はこれについて、

「放送したものが全てであり、この番組に限らず、番組の制作過程につきましては、従来からお答えしておりません」

とだけ答えている。

この「児童ポルノ禁止法」は表現の自由とは何か、をテレビや出版社を巻き込み大騒動に発展した。東京都はその騒動を受け10年4月、「東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集」を発表している。

ワカメちゃんのパンチラは対象外

これによれば、

「ドラえもんのしずかちゃん入浴シーンは『性交又は性交類似行為』が明確に描写されていないため、規制の対象にはならない」とされた。

同様に、「サザエさん」(ワカメちゃんのパンチラシーン)、「キューティーハニー」(如月ハニーの変身シーン)、「クレヨンしんちゃん」(しんのすけがお尻を出すシーン)、「ドラゴンボール」(ブルマが裸になるシーン)、「新世紀エヴァンゲリオン」(レイやアスカのヌードシーン)は「性交」又は「性交類似行為」には当たらないため、規制の対象にはにならない、とした。ただしこれは10年前の話だ。

しずかちゃんの入浴シーンを問題視する声は現在も続いている。ネットではマンガやアニメを愛するオタク層からは「ただの絵じゃん」という声がもっぱらで、しずかちゃんの入浴シーンで興奮したい、というのではなく、規制されることへの反発が強い。

「本当に性的消費してる奴らは相手をせずに、性的消費と解釈できるぞ!というものばかり責めるのはいただけない」

という声もある。

 

(リンク)

ドラえもんのお風呂シーンのカットを希望します(署名サイト「Change.org」)

https://www.change.org/p/%E3%83%86%E3%83%AC

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