作家の丸山健二さん(76)が大人になってもアニメやゲームに興じている人は「不気味極まりない子ども大人」であり、異様にして異常な人生を送るだけでなく、社会国家を尋常ではない集団にする、などと尋常極まりない発言をし憎悪を剝き出しにしている。

国民的ブーム「鬼滅の刃」が念頭にあるのかは分からないが、ジブリ作品を筆頭とするアニメには小説、児童文学を原作にして生まれたものがこの世にはごまんとある。もし丸山さんの作品がアニメ化されていたら、こんな「暴言」は出なかった?

 

「鬼滅の刃」ブームで分かるアニメは大人に溶け込んだ

 

丸山さんは2020年12月1日にツイッターでこう呟いた。

「少年期を過ぎたならば、アニメやゲームという非現実の世界からは完全に手を引かなければならず、さもなければ、自立や自律とはいっさい無縁な、不気味極まりない子ども大人として異様にして異常な人生を送るだけならまだしも、社会全体と国家全体を尋常ではない集団に仕立て上げ、暴力の狂気を迎える」

 

何を言いたいのかといえば、大人になってからもアニメやゲームという非現実世界を楽しんでいる人は「異常」であり、とんでもないことをしでかす、ということのようだ。昔はアニメやゲームが趣味というだけで「オタク」呼ばわりされたが、「鬼滅の刃」のブームを見てわかるように、アニメやゲームは大人の生活にも溶け込んでいて、「鬼滅」の映画を見に行ったとしても「オタク」呼ばわりはされない。

ネット上では丸山さんに対する強い反発が起き当該のツイートは「炎上」した。特に「非現実世界を楽しんでいる」という部分への批判が多い。つまり丸山さんも「非現実」を描く小説家であり、昨今では小説のジャンル「ライトノベル」を原作とする「深夜アニメ」も溢れているからだ。

ツイッターや掲示板には、

「本人が小説家(非現実の世界の作り手)だってんだからひっくり返るよなーwwwwwwwwwww」

「じゃあ小説なんて妄想書いてる人は更にやばい奴ってことになりますねw」

「自己否定はやめてください!小説は素晴らしいものです」

といった書き込みが出た。そしてこういうのもある。

「その文学を元に作られてるアニメもかなりあり、そこから原作読む人もそれなりにいるのにな」

「どうして喧嘩売る方向へ行くのか」

 

アニメの原作がないから嫉妬して「喧嘩を売ってしまう」?

 

小説や児童文学を原作とするアニメ作品は本当に多い。ジブリ作品はそのオンパレードのようなもので、高畑勲監督の「火垂るの墓」の原作小説は野坂昭如さん。宮崎駿監督の「風立ちぬ」は堀辰雄さんの同名小説から着想を得たのは有名だ。「魔女の宅急便」の原作は角野栄子さんと、基本は原作ありきでアニメ映画を作っている。

そのほかのアニメでは、「グイン・サーガ」は栗本薫さん、「銀河鉄道の夜」は宮沢賢治さん、「ジョーカー・ゲーム」は柳広司さん、「時をかける少女」は筒井康隆さん、「ブレイブストーリー」は宮部みゆきさん、「氷菓」は米澤穂信さん、「銀河英雄伝説」は田中芳樹さん、「魍魎の匣」は京極夏彦さんと錚々たる顔ぶれだ。海外作家の作品をアニメ化したのも相当な数があり、「巌窟王」(テレビ朝日、2004年10月5日~05年3月29日)は、約180年前に書かれたアレクサンドル・デュマ・ペール氏の「モンテ・クリスト伯」を原作としている。

 

出版不況が吹き荒れた1980年代以降、小説や純文学作品が売れずに苦境に立たされた出版社を救ったのは漫画ブームだった。その漫画ブームがアニメやゲーム人気へと引き継がれていく。

先に挙げたこうしたアニメの原作小説に、丸山さんの名前があったならば、「どうして喧嘩売る方向へ行くのか」といったコメントは出なかったかもしれない。

 

(リンク)

丸山健二公式Twitter

https://twitter.com/maruyamakenji