ソニーの新型ゲーム機「PlayStation 5」(PS5)の2020年11月12日発売を控え、ネット上はとんでもないことになっている。Twitterで「#PS5安すぎ」がトレンド入りし、今度は予約が困難すぎて「#予約するってレベルじゃねえぞ」がトレンド入り、Amazonでは希望小売価格の10倍もの値段、50万円で販売するものも現れた。
しかしこの騒動、仕掛人は「転売屋」なのではないか、「転売屋の黒幕」説とも囁かれている。そのため、「『PS5』って本当に売れるのか?」「転売屋が黒幕なら、ソフトは売れない」などといった感想が出ることになった。
Amazonで「PS5」の販売価格が50万円、、、削除
「PS5」は9月18日から予約の「抽選」が始まった。しかし当たらなかった、という悲鳴がTwitterにあふれ「#予約するってレベルじゃねえぞ」がトレンド入りした。そうした中、まだ発売していないにもかかわらず「余裕で買えたよw」と報告する人もいた。それが後に大問題化する。「Amazonマーケットプレイス」での販売だ。
これはAmazonのサイト内で出品者(個人または企業)が商品を販売できるサービス。そこで「PS5」が売られていた。値段は¥298.000、¥357.000、¥480.000、確認できた最高値は¥500.000。そして「返品は不可」との注意書きがある。これらが続々と売れたため、ネット上では、
「PS5は高額で売れる、凄い人気だ!!!」
と喝采が起こった。
しかし、暫くしてTwitterなどで、
「間違って買ってしまった、どうしよう、、、」
という大きな悲鳴が出る。実は、これを買った人たちは「ケタ」を間違えたのだ。¥357.000と¥35.700は確かに似ているが、あまりの「PS5」欲しさ、に目がくらんでしまったのかもしれない。Amazonに苦情が行き、Amazonは「PS5」本体の「Amazonマーケットプレイス」を削除、購入した高額な「PS5」本体の「キャンセルが可能です」と告知し、誤って購入した人たちを安心させた。
もともと「PS5」の評判はいいものではなかった
高額で「PS5」を販売しているのは「転売屋」「転売ヤー」と呼ばれる人たちだ。この人たちは一般的には開店前の店やイベント会場に行列を作り、売れそうな商品を「買占め」、ネットで販売し儲けている。今回は抽選に当たったかどうかは分からないが、手元にない「PS5」を販売したのだ。
実は、18日から始まった「PS5」予約抽選には、相当数の「転売屋」が存在しているといわれている。また、「転売屋」とは言えないけれども、「抽選に当たったら『PS5』をメルカリで売りたい」と思っている人もいる。
この「Amazonマーケットプレイス」騒動で分かったことは、「PS5」人気の裏には「転売屋」がいて、「転売屋」が掻き回している。結局は、「ゲームファンに『PS5』って人気なの?」といった疑問が出ることになってしまった。
実は「PS5」が物凄い人気だと騒がれたのは、予約の『抽選』が発表されてからここ数日のことだ。それ以前は、それほど評判はよくなかった。
例えば、ゲームクリエイターの内藤時浩さんは20年6月12日、ツイッターで「PS5」について、
「PS2以降延々と言われ続けた『絵が綺麗』。それから既に20年以上経過して、少なくとも私にとっては『だからなに?』状態です。映像表現に制作パワーとられるためか、ゲーム性の進化は見られない。そこが残念」
とつぶやいた。つまり、グラフィックやゲーム再生の速度が「PS4」より上がるけれども、ゲーム性として目玉になるものはない、というものだ。
ゲームなどサブカルチャー好き(オタク)が集まるサイトでも、6月から8月にかけ、
「PS5で出来ることなんか既にPCがやってるやろ」
「任天堂のハードは毎回新しい遊び方考えなあかんけど、PSは画質上がっているだけだからな」
「初期からソニー製品買うのはちょっと…」
という声が挙がっていた。
全部『転売屋』が仕掛けているのではないのか?
予約の『抽選』が始まった18日の掲示板には、
「いらね」
「そんなに急いで買って何やりたいん?まだ何も欲しいソフト無いわ」
「初期からソニー製品買うのはちょっと…」
といったものが並んでいる。
オタクが集まるサイトでもこうなのだから、本当に「PS5」が物凄い人気なのか、疑問が湧いてくる。
そうした中で出てきたのが「転売屋の黒幕」説だ。ネット上の盛り上がりも、予約の『抽選』の混乱も、全部『転売屋』が仕掛けているのではないか、というもの。オタクが集まる掲示板には18日から、「PS5」を持ち上げる書き込みがあれば、「お前は転売屋だろ!」という指摘がされ、「そうだよ俺は転売屋だよw」といった、嘘か本当かわからないやり取りも出ている。
一般的に「転売屋」は人気商品を抱え込み、値段が上がったところで放出し、値段が下がればまた抱え込む。海外に流出させることもあり、日本市場の商品は品薄になる。もちろん、抱え込んだ商品の人気がなくなり、値段が下がれば「転売屋」自身が大損する可能性があるため、値段が上がるように、ネットなどで大いに煽る。
掲示板でオタクたちは、18日以降、
「転売屋に大好評発売中w」
「PS5日本市場は始まる前からボロボロですやんw」
「転売屋がずっと張り付いて一般人はいつまでたっても買えず、興味なくしていくパターンあると思います」
「本体は転売屋が殺到して売れてるだけなら、PS5ゲーム売上は悲惨なことになりそうやなw」
などと書き込んだ。
ソニーや小売店にとって「PS5」本体が売れても儲からない。特にソニーにとってゲーム機本体は赤字で売って、ゲームソフトの売り上げで利益を得るというビジネスモデルだ。「PS5」のビジネスが成功したかどうかは本体の売り上げではなく、ゲームソフトの販売実績で決まる。仮に今回の「転売屋の黒幕」説が本当ならば、早くも「PS5」ビジネスに暗雲が立ち込めている、といえるのかもしれない。
(リンク)
アマゾンの「PS5」販売ページ