コロナ禍の影響で首都圏を中心に輸血用の血液が確保できないという異例の事態になっている。この秋から冬にかけては適正量に対し20%足りなかった。この危機を打開するため日本赤十字は「オタクに助けを求める」、とNHKが報じたものだからネット上では「オタクの血は純潔!」「日本はオタクが回している!」「もっとオタクを褒めろや!」などと大騒ぎになった。

しかし、この呼びかけに応じる気はあるのだが、目立って発せられた単語は「フェミ」だった。「フェミがオタクの代わりに献血行けよ 馬鹿フェミ」。昨年11月に行われた献血キャンペーン、「宇崎ちゃんは遊びたい!」とのコラボの恨みが消えていない。

 

コミックマーケット参加者(約50万人)に献血を頼む

 

「NHK NEWS WEB」(2020年12月26日)の記事によれば、新型コロナウイルスの影響で輸血用の血液が安定的に確保できない異例の事態になっている。特に首都圏では4~11月に献血バスの約4割が中止され、需要が最も多い400mlの献血は、目標より約4万5700人分少なかった。10月中旬から11月にかけては適正量に20%足りなかった。現在は個人に対して電話やはがきで献血をお願いしているが、

「献血協力者がこれほど減ったのは今までに経験がない状況だ」

という。これを打開するための策の一つが、毎年、夏と冬に東京ビッグサイトで開かれる「コミックマーケット」の参加者(約50万人)に協力を求めること。実は、「コミケ」の開催期間には会場に30台もの献血バスを出していて、毎回1500人ほどの協力が得られていたからだという。コミケ主催者と日赤は12月30日から来年1月31日までキャンペーンを行い、首都圏1都3県の献血ルームで献血をすれば「バーチャルユーチューバー」キャラのポスターをプレゼントする、と報じた。

この報道に「オタクが社会の役に立ってたなんて…」という驚きと共に、「日本はオタクが回している!」「もっとオタクを褒めろや!」などと一部で大騒ぎになった。

 

「オタクは血を捧げよ」とか言われたところで、、、

 

また、日赤がオタクに頼るのは賢い、という意見もある。それは「オタクの血は奇麗な血であり安全な血」ということのようだ。というのも、オタクの場合は酒やタバコを買うカネがあればグッズを買うし、人ともあまり交わらないし、海外旅行はしないし、「童貞」だから感染症リスクは少なく「血が純潔そのもの」という理屈だ。

ところが、である。コミケ運営が、

「エアコミケ2の開催に合わせて『エアコミケ2 献血応援イベント』を開催します」

と告知しても、有志が、

「オタクは血を捧げよ」

と呼びかけても、素直にそれに応じようという書き込みはあまり見ることができない。それは昨年10月に行われた献血キャンペーンで「深い傷」を負っていたからだ。

 

「オタクの血を入れるぐらいならば死んだ方がマシ」

 

それはアニメ化もされた人気漫画「宇崎ちゃんは遊びたい!」との献血キャンペーンコラボ企画で、同コミックの表紙がそのポスターに使われた。するとヒロイン「宇崎ちゃん」の胸が強調され過ぎているとし、

「公共空間で環境型セクハラしてるようなもの」

と賛否両論の大騒ぎになった。そこで出てきたのが、

「キモいアニオタの血なんて輸血されたくない」

「オタクの血を入れるぐらいならば死んだ方がマシ」

という書き込みである。もともとコミケでの献血もオタクは社会貢献をしているというアピールであり、血そのものが完全に否定されてしまった出来事だった。

 

始まりはネット民が「フェミ」と呼んでいる層が「宇崎ちゃん」をセクハラ呼ばわりしたこと。

「オタクは血を捧げよ」と言われても、

「『オタクの臭い血はいらない』と言ってるフェミ女性がたくさん献血してくれてるはずだよね!」

「オタクの血で命繋げたフェミに『今どんな気持ち?』って聞いてあげたい」

「フェミは責任取って献血行けよオラ」

「フェミから血を抜けよ。たまには社会貢献させろ」

などといったことが多くネット上に出ることになった。果たしてオタクは今回の献血キャンペーンに参加するのだろうか、しないのだろうか。

(リンク)

コミックマーケット公式サイト

https://www.comiket.co.jp/

TVアニメ「宇崎ちゃんは遊びたい!」公式サイト

https://uzakichan.com/