あまりにもローカルな「町の文化」のため、初めてこの写真を見た人は何が起こっているのか想像できなかった。ネットでは「炭治郎はそんな事しない!」といった悲鳴も上がった。

山形市「JR北山形駅」東口には小便小僧がいて、それが超人気アニメ「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎になった(コスプレをした)のだ。実はこの小便小僧、衣装替えは60年以上も続いていて、その度にテレビや新聞のローカルニュースになる。今回はなぜ炭治郎かというと、山形市は「鬼滅の刃」の「聖地」として注目されている、という理由もある。

 

MLB・大谷翔平選手や、NBA・八村塁選手の小便小僧も

 

炭治郎の小便小僧の写真がネットに上がると、

「竈門炭治郎が男性のシンボルを出してるんですか?」

「ただの変態やないかw」

「便乗するのはいいけど、物を考えて下さい。良いことと悪いことの判断は出来ないのですか?」

などといったことが掲示板に書き込まれた。ただしこれはローカルな「町の文化」。そしてこの小便小僧は住民のシンボル的存在だ。直近では米大リーグ・大谷翔平選手や、米プロバスケットボールの八村塁選手の小便小僧も登場、2016年の熊本地震の時には復興を願って「くまモン」のかぶりものをした。

 

寒くないように赤いマントを着せたのが始まり

 

この像が設置されたのは1956年(昭和31年)10月19日。衣替えは山形女子専門学校の生徒が、裸で雪の中にいる像を見て寒くないように赤いマントを着せたのが始まり。1957年(昭和32年)から多い時で年に4回の衣装変更が行われ、時々の社会情勢やトレンドに合わせて衣装が制作されるようになった。ところが2015年に山形女子専門学校が閉校してしまった。

歴史を絶やすことはできないため、NPO団体「ぷらっとほーむ」が引き継ぐものの19年3月に解散。現在は「プラットホーム」のNPO後継団体「ぷらいず」が取り組んでいる。

小便小僧となった炭治郎は2020年12月29日にお披露目された。ところでどうして今回は炭治郎だったのか。

 

映画「無限列車編」に登場するSL「ハチクロ」を展示

 

もちろんその時々の話題を表現してきているため炭治郎は適任なのだが、実は、山形市は「鬼滅の刃」の聖地巡礼の地として注目されているからだ。その理由は超ヒット映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」に登場する車両のモデルとされる蒸気機関車(SL)が、山形市の「第二公園」に展示されているからだ。

そのSLは「ハチクロ」いう愛称の8620形で、1923年(大正12年)に製造された国産では初の旅客列車用形式。これが口コミで話題になりSNSを通じて山形市を訪れる「鬼滅の刃」ファンが増えている。昨年12月22日からは作中で「鬼が嫌う花」である藤の花の棚(藤棚)を装飾し、夜はライトアップしてファンを歓迎している。点灯式には炭治郎のコスプレをした佐藤孝弘市長が登場、場を盛り上げた。山形市内には大正5年に英国ルネッサンス様式で建てられ、国の重要文化財にも指定されている「文翔館」があり、市としては「鬼滅の刃」での町興しを狙っている。

(リンク)

【北山形駅】小便小僧ファンクラブ

https://www.facebook.com/583263761813480/photos/a.583817708424752/1928763723930137/

山形市「第二公園」(山形十日町エリアサイト)

https://yamagata.itot.jp/yamagata-life/139