音楽ユニットYOASOBIの大ヒット曲で昨年大晦日のNHK紅白歌合戦でも歌われた「夜に駆ける」。その公式MVがYouTubeの規制に掛っている。視聴しようとすれば黒い画面が出て「ご自身の責任において視聴してください」という文字が。

この曲のテーマは「自殺」だと昨年春くらいから話題になっていて、小学生の子供を持つ親からも不安の声が挙がっていた。

タナトスに支配され自殺願望を抱く少女

「夜に駆ける」はソニー・ミュージックエンタテインメントの小説・イラスト投稿サイト「monogatary.com」のコンテストで大賞に輝いた星野舞夜さんの小説「タナトスの誘惑」「夜に溶ける」が原作。大賞を取れば楽曲化される。それをYOASOBIが担当した。

星野さんは2020年10月24日に配信されたスポーツ報知のインタビューに登場している。小説「タナトスの誘惑」はタナトス(死に対する欲動)に支配され、自殺願望を抱く少女と、その少女に心奪われた青年による物語で、

「焦燥という言葉の意味をまず調べて。不安とかに駆られてっていう意味があったので、死にたいという願望とか、そういったものがまず頭に浮かんできて」

とこの小説を書くきっかけを語っている。

それを知った子供も「怖い」と言っています

「子どもの自殺大幅増加 コロナによる生活変化が影響か」と報じたのはNHKニュースWEB(2020年11月25日配信)。子供を持つ親は心配していて、Q&Aサイト「教えてgoo」に20年11月5日にこんな質問が出ている。自分の子供は小学生で、給食時に「今月の曲」として「夜に駆ける」が流れている。

「この曲はどうも自殺を暗喩した曲のようで、最近それを知った子供も『怖い』と言っています。先生方は、この暗喩を知らないようなので、私から先生方に進言すべきかどうか迷っています(音楽の時間に、みんなで合唱とかしてしまうかも?)」

最近もこんなニュースが出た。

「20年に自殺した小中高校生は479人で、前年より140人増。統計データのある1980年以降で最も多くの子供たちが『命を絶った』」(日経ビジネス、21年5月11日配信)

もちろん、「夜に駆ける」が関係しているとは考えにくいが、コロナ禍の中、大ヒット曲が注目されてしまうのは致し方ないことなのかもしれない。

Googleと話し合っているため見守ってていただけたら

2021年5月31日午後1時、当該の公式MVを見ると黒い画面に、

「次のコンテンツは、一部の視聴者にとって攻撃的または、不適切な内容を含んでいるとYouTubeコミュニティーが特定したものです。ご自身の責任において視聴してください」

という文字が出る。

YOASOBIの公式はTwitterで5月30日、

「『夜に駆ける』規制の件、ご心配をおかけして申し訳ありません。Googleさんともお話合いしているので、見守ってていただけたら幸いです。 ちなみにYOASOBIのMVはニコニコ動画やビリビリ動画にもあります」

と説明した。規制が掛けられているのは「公式のMV」だけで、YOASOBIのYouTubeチャンネルにある他の「夜に駆ける」は普通に視聴することができる。

 

(リンク)

YouTubeの規制が掛かったYOASOBIの「夜に駆ける」

https://www.youtube.com/watch?v=x8VYWazR5mE&t=20s

 

YOASOBI公式Twitter

https://twitter.com/YOASOBI_staff/status/1398934997235494912