ゲームセンター(アミューズメント施設)大手セガの店舗で、クレーンゲーム(セガの場合はUFOキャッチャー)で遊んでいたところ景品が全く取れなかったため、警察に通報し警察が駆け付けた、という話題がネット上でバズっている。その後店員は、2時間かけ350回も警官の前でクレーンゲームをプレイしたのだという。

バズったきっかけは警察を呼んだ本人が、警察と店員の「異様」な風景の写真をTwitterにアップしたからだが、どうしてこんなことが起こるのか、NNJニュースは「専門家」に話しを聞いた。

 

「取れる設定にしてください」と頼んだところ「絶対取れます」

 

「全く取れないから警察来ました」と2020年10月8日にtweetし、ゲームセンター内で警官2人と店の店員、そしてUFOキャッチャーが写っている写真をアップしたのは「オガトゥーン」さんだ(https://twitter.com/84848141a)。

これがネット上で大きな話題になり、オガトゥーンさんは10月9日、

「こちらのYouTube(youtu.be/DWiPNDM3us4)でことの経緯を説明してます。よろしければ見てください!」

と、クレーンゲームで役立つ情報を発信する「もっかいちゃんねる」の動画「ゲーセンに警察が来た件について」のリンクを張った。オガトゥーンさんは「もっかいちゃんねる」のインタビューを受けている。

 

オガトゥーンさんが「ゲーセンに警察が来た件について」内で語ったのは、UFOキャッチャーで遊んでいたが全く取れなかったため、店員に、

「取れる設定にしてください」

と頼んだところ、

「取れる設定です。絶対取れます」

と言われた。

オガトゥーンさんはクレーンゲームでゲットした景品を販売(転売ヤー)していて、クレーンゲームには自信があった。これまでの経験から「取れない」設定だという確信があり、それで「取れる設定にしてください」と頼んだわけだ。そうまでしてゲットしたかったのは超レアな景品が入っていたから。

「取れる設定です」と言った店員は50回ほどプレイしたが取れなかった。そして「確認に1~2時間かかる」と告げられたオガトゥーンさんは、

「プライズ(景品)1個取るのに1~2時間かかる?それで立会人が必要かな、と思って警察を呼んだ」

と語った。

 

プライズ(クレーン)ゲームの場合はゲームセンターが「難易度」を設定できる

 

警官が来て、店員は警官の前で200回以上プレイしたが結局景品は取れなかった。最終的には間違いなく取れるだろうという位置まで景品を店員がズラし、ようやく取れたのだが、それでも10回プレイする必要があったという。オガトゥーンさんによれば、店員は350回はプレイをした、と語っている。

 

それではなんでこんな警察沙汰となり、店員は350回もプレイしなければならなかったのか、NNJニュースは「専門家」に話を聞いてみた。

 

ゲーム業界に詳しい元ゲームメーカー社員は、NNJニュースの取材に対し、

「プライズゲームを置いているゲームセンターがあって、そのプライズが『全く取れない』設定になっていれば、そのゲームセンターは詐欺罪に問われます。ゲームセンターは風営法第2条第1項第5号に該当する風俗営業店で、警察が管轄していますから110番通報したというのも頷けます」

と語った。プライズ(クレーン)ゲームの場合はゲームセンター側が「難易度」を設定でき、お客に来てもらうために難易度を下げて景品を沢山取ってもらう「呼び込み台」と、難易度を上げて取れ難くしてお金を稼ぐ「回収台」といわれるものがある。ただしそれも程度があり、全く取れない設定なのに「絶対に取れる」などと謳えば、詐欺にあたるというのだ。そのため今回のセガの店舗の場合は、詐欺の疑いが掛けられた店の店員が警官の前で2時間もかけ、350回もプレイをして「取れる」ことを証明しなければならなかったのだろう、という。

 

ただし、景品が取れなかったことに腹を立て、110番通報する、ような事態はめったに起こらないそうだ。

「通報した人がどんな人かは知りませんが、プライズゲームのマニアは意外と横の繋がりがあって情報交換をしています。マニア仲間から不評のゲームセンターがあったとすれば普通はそこを避けますが、逆に興味を持って確認しに行くマニアもいます」

ということだった。

ちなみに、景品が取れないように設定したクレーンゲームを稼働させたとして、2018年6月12日に大阪市内のゲームセンターの経営者らが詐欺罪で起訴され有罪判決を受けた、と報道されている。2店舗で8人から計約123万円をだまし取ったと認定された。

 

(リンク)

ヒバナ -Reloaded-/Leo/need×初音ミク(セガYouTubeチャンネル)