スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(18)に抗議し、グレタさんの大きな写真が燃やされる、そんな写真や動画がネット上に拡散されている。燃やしているのはインドの活動家達だ。

きっかけはグレタさんのツイートだった。日本では当初、グレタさんがリンクを誤って貼り即削除。リンク先にあったのは環境活動の「指示書」。「グレタはポンコツの操り人形を自ら暴露」などと大笑いが起きたが、それは違っていた。グレタさんがやったのは、インドで起きている農家の大規模デモを煽ることだった。

 

1月26日の農家約20万人集結デモで多数の死傷者

 

インドでは2020年11月26日から農産物取引の自由化新法に反対する農家のデモが激しさを増している。自由化すれば買い叩かれ収入が減る、という懸念からだ。21年1月26日には首都ニューデリーだけで農家約20万人が集結したとされるデモが行われ警官隊と衝突、インド政府は発表してはいないが多数の死傷者が出たという。そのデモにグレタさんが関わっていたのだ。

グレタさんは2月3日、Twitterで、

「Here’s a toolkit if you want to help」(あなたが助けたいと思うならここにツールキットがあります)

と呟き、リンクを張った。そしてすぐに削除した。リンクの先にはSNSをどう有効に使えば活動が上手くいくかの細かな手順が書かれた「指示書」があった。日本ではクレタさんがインドのデモに関わっているという発想が無かったため、今後の環境活動の「計画書」を「誤爆」したと笑いが起きた。

ところがこれはインドのデモを煽る目的で行われたものだった。

 

インドに経済的、社会的、文化的、地域的戦争を仕掛けた

 

「AFP」、「New York Post」、そしてインドのニュースメディア「NDTV」などによれば、グレタさんの「指示書」には、SNSで何を投稿すればデモが盛り上がるのか、一連のヒントが記載されていて、ポップスターのRIHANNA(リアーナ)さん(32)を含む他の有名人にも呼びかけ、リツイートとハッシュタグ付けるように求めた。そして、

「インドの農民デモと共に私たちも団結して立ち上がる」

と投稿した。

これに対しインド外務省は3日、無関係な著名人によるこのようなコメントは「無責任だ」と批判。「既得権益団体がこれらの抗議行動に議題を強制し、脱線させようとしているのを見るのは残念だ」と述べた。インド政府はデモを煽るグレタさんのようなアカウント、投稿を停止するようTwitter社に求めた。Twitter社はこれに従い停止したものの数時間後に停止を取り消した。

またインドの首脳はグレタさんの指示書について、

「インドに対する国際レベルのリアルな陰謀デザインである」

と指摘。4日にデリー警察は、

「(グレタさんの)呼びかけは、インドに対して経済的、社会的、文化的、地域的な戦争を行うことだ」

とし、専門のサイバー犯罪部隊に正式な捜査「First Information Report(FIR)」を命じた。グレタさんが捜査対象なのかという問いには、

「まずは『指示書』を作成した背後にいる組織を突き止める。誰も特定していない」

と答えている。

(リンク)

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