化粧品、サプリメントメーカー大手DHCの吉田嘉明会長(80)が「サントリーはチョントリー」「NHKは幹部、アナウンサー、社員の殆どがコリアン系である」などと自社の公式HPに書いたコラムが差別だ、として批判されていた問題で、DHCはその全コラムを削除した。
削除理由についてDHCは何の説明もしていないが、小売店販売の取引停止、テレビ放送からのCM排除などの外圧に屈したとみられる。
サントリーは何も反応しなかったが、、、
このコラムは同社のイベント「ヤケクソくじ」紹介欄に掲載されていた。吉田会長は同社の製品がいかに優れているかを自慢し「純国産」であることを主張。対比に持って来たのがライバル会社のサントリーで、
「サントリーのCMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です。そのためネットではチョントリーと揶揄されているようです」
と書いた。サントリーは何も反応しなかったが、人権団体などから在日コリアン差別だとし批判された。市民団体の人種差別反対の署名活動、国会でも議論された。NHK「おはよう日本」(2021年4月9日放送)がこの問題を取り上げると、吉田会長は同コラムで、
「NHKは幹部、アナウンサー、社員の殆どがコリアン系である」
「NHKに対してひとこと感想をと言われれば、『NHKは日本の敵です。不要です。つぶしましょう』」
と反撃したため、DHCはコラムの取り下げも謝罪もしないはず、というのが大方の見方になっていた。
非を認め発言を撤回し二度と繰り返さない
潮目が変わったのは多民族共生人権教育センターや部落解放同盟などの活動だ。5月10日に小売店・ドラッグストア、直営店が入店しているショッピングモールなど32社に、DHCとの取引を継続するのかどうかの質問書を提出。イオンなど7社がDHCに対し説明を求めるという回答を公表した。また、これとは別に広告にも影響が出ていて、日本テレビがCM枠販売を拒否、毎日折込、読売IS、サンケイアイが新聞折り込み広告を停止にしていた。
こうして追い込まれ、会社継続のため問題の全コラムを削除せざるを得なくなった、というのが実態だ。
イオンは「重要なお知らせ」として6月2日、公式ホームページに「株式会社ディーエイチシーに対する当社の対応について」を掲載した。内容は、5月31日をもって文章を削除する旨の回答があり、当該文章が削除されたことを確認した、というもの。そして、
「『人権に関わる不適切な内容を 含む文章が掲載されていたことについての非を認め、当該発言を撤回すること』『同社が今後同様の行為を繰り返さないこと』以上をふまえ、当社は、株式会社ディーエイチシーが、当社の定める人権基本方針にご賛同、 ご理解いただいたものと判断し、同社との取引を継続することといたします」
と書いている。
(リンク)
イオン「株式会社ディーエイチシーに対する当社の対応について」
https://www.aeon.info/wp-content/uploads/news/important/pdf/2021/06/210602R_2.pdf
DHC公式HP(吉田会長のコラムは削除されている)