患者数と医療費の減少がコロナ禍の中で起こっている。新型コロナウイルス感染者を含めての数字である。医科診療所全体の患者数は11.53%減少(2020年4月~21年2月の前年比)。特に小児科、耳鼻咽喉科は30%も減少した。医療費全体も同6.72%減で、コロナ前に比べ今年度の医療費は約1兆6000億円減となる計算だ。

医療費は約1兆6000億円減となる見通し

厚生労働省が2021年6月25日に「最近の医科医療費(電算処理分)の動向 ~試験的公表~」を発表し、2020年4月~21年2月までの数字が出揃った。その数字を計算すると、国内の受診延べ日数(一人が10日間入院した場合は10人と数える)は前年比で11.53%減。医療費は6.72%減となった。全体の医療費はコロナ前に比べ約1兆6000億円減となる計算だ。診療別では、内科の受診延べ日数が11.20%減、医療費は5.40%減。特に減ったのが小児科と耳鼻咽喉科。小児科は同34.3%減、同27.25減。耳鼻咽喉科は同27.1%減、同22.92%減だった。どうしてこんなに減ったのか、NNJニュースは厚生労働省の保険局調査課に29日に取材した。

いつものインフル感染者数1000万人超が1.4万人

厚労省の担当者は減少について、

「インフルエンザにかかる人が殆どいなくなってしまった、というのが最大の要因と考えております」

と明かした。インフルエンザといえば年間で1000万~1500万人が感染し通院する、とされてきたものだ。担当者によれば、昨年度(2019年4月~20年3月)の感染者は730万人だった。それが今シーズン(毎年8月から3月)は1.4万人しかいない(新型コロナ感染者数は6月29日まで述べ79.7万人)。どうしてインフルエンザが無くなったのか。それには諸説あり、消毒やマスクなどコロナ感染対策が行き届いた、ということや、ウイルス干渉により新型コロナの蔓延で姿を消した、というものもある。小児科と耳鼻咽喉科の患者がこれだけ減ったのはなぜか。

「小児科はもちろんそうですが、耳鼻咽喉科もお子さんの患者が多いわけです。初めはお子さんが外出を控えたため、という説がありましたが、現在は消毒やマスクなどによって、より清潔な環境に置かれていることが要因ではないかと考えられています」

ということだった。

 

(リンク)

厚生労働省「最近の医科医療費(電算処理分)の動向~試験的公表~令和2年度2月」

https://www.mhlw.go.jp/content/000757595.pdf