世田谷区は「世田谷モデル」に関しNNJニュースの取材に「2021年10月から、定期的なPCR検査、スクリーニング検査を止めて、随時検査を最優先させる予定です」と語った。

「世田谷モデル」というのは、PCR検査を「誰でも いつでも 何度でも」行えるシステム。保坂展人東京都世田谷区区長(65)が唱えたもので、米ニューヨーク州の事例を参考にした。とにかく徹底的にPCR検査を繰り返し感染者をあぶり出し、新型コロナウイルスを根絶する、はずだった。しかし、感染者の増加は止まらなかった。

「社会的検査」(世田谷モデル)は9月まで

世田谷区が「社会的検査」と呼ぶ、いわゆる「世田谷モデル」は昨年の10月から始まった。当初から反対意見があり、感染していない無症状の人にまでPCR検査をすれば陽性者が大量に出て医療現場が逼迫するのではないか、や、1~2カ月ごとに定期検診しても意味がないのではないか。1週間に1回の検査なら分かるが、区民はどうやってその時間を作り、そしてその予算はどこから持ってくるのか。そもそもPCR検査で感染者の増加は抑えられるのか、などだ。そして新型コロナの「根絶」どころか、感染者数は増え続けて行った。「世田谷モデル」を導入して10カ月が過ぎた2021年8月2日、世田谷区は、

「世田谷区内の介護事業所等を対象にPCR検査(社会的検査)を実施してきましたが、感染拡大により、この度随時検査を最優先に実施することとなりました」

と発表。8月6日から8月31日まで定期検査の新規受付を停止する。そして「社会的検査」(世田谷モデル)は9月まで、とした。

感染防止やクラスター発生の抑止は完全に空念仏

世田谷区議会の稗島進議員(44)は8月4日、「『世田谷モデル』ついに廃止へ」とブログに綴った。予想された通りの結末であり、億単位の血税が浪費された。PCR定期検査の対象である介護事業所や障害者施設からの検査の希望は少なく、1ヵ月に1回の検査では感染者を的確に捕捉することはできない。

「目的とした感染拡大の防止やらクラスター発生の抑止やらといったフレーズは完全に空念仏と化していた。まったくもって、怒りを禁じえない」

と綴った。NNJニュースが4日に世田谷区保健医療福祉推進課に取材したところ、「世田谷モデル」とされている「社会的検査」の実態は、介護事業所、保育園や小中高の若年層の無症状者を対象とした検査にとどまっていた。10月以降も「社会的検査」は継続される予定だが、定期検査や、医師の診断を伴わない診断キットを利用した「スクリーニング検査」(検体プール検査、1週間に1回程度の受検が可能)は廃止の方向にある。今後のPCR検査は感染の疑いのある人や、感染者と濃厚接触した人への随時検査が中心になる、とした。

 

 

(リンク)

世田谷区「PCR検査(社会的検査)について

https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/003/005/006/31211/d00188032.html

 

稗島進世田谷区議会議員「『世田谷モデル』ついに廃止へ」

https://agora-web.jp/archives/2052494.html