「知っているか、レモン一個に含まれるビタミンCはレモン4個分だぞ?」―――そんな会話が2020年9月25日からツイッターや掲示板でバズっている。

「レモン〇〇個分のビタミンCが入っている」というのはCMなどでよく目にし、清涼飲料業界などでは「レモン一個分」のビタミンCは20mgと定義している。ところがレモンには80 mg以上のビタミンCがあるため「俺たちは騙されてきた」というのだ。

 

「ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン」は廃止

 

レモンは爽やかでフレッシュな印象があるため、清涼飲料業界では1980年代からCM によく使われるようになった。果実ではイチゴやアセロラなどと比べビタミンCの含有量は少ないが、「レモン〇〇個分」は定番中の定番だ。しかしそれは「私たちを騙しているのではないか?」、というのだ。

 

実は、この「レモン〇〇個分のビタミンC」、見直す動きが2009年3月にあった。08年4月に「ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン」の基準値(20mg/1個)が廃止されたからだ。社団法人 全国清涼飲料工業会と社団法人 日本果汁協会は、製品のビタミンC添加量を消費者にわかりやすくするのに最適な表現だとし、これに代わる新たな基準を模索したが、これまで通りガイドラインを継承することを決めた。製品のビタミンC添加量を消費者にわかりやすくするのに最適な表現だから、とした。

 

両団体によるレモン一個分のビタミンCの算出方法は、こうなっている。

厚生労働省が出している「食品番号表」のレモンの「目安」は、一個(全果実)の目安重量が120gで、果汁分は30%。レモンのビタミンC含有量は、「日本食品標準成分表」(文部科学省)で100g当たり50㎎とされている。これを計算すれば、

「120g(レモン1個重量)×30%(果汁分)×50mg(Ⅴ.C)/100g(果汁) ≒ 20mg」

となったから、

「レモン果実1個当たり『20㎎換算を基準とすることが適切である。』との結論を得た」

と両団体は共同で報告書を出し決定した。これが今の「レモン一個分のビタミンC」の基準である。

これに対し、

「レモン一個に含まれるビタミンCはレモン4個分ではないのか」という「疑惑」が出た。

 

「レモン1個食え言われても普通無理やし、、、」

 

この理論は、「レモンの皮ごと全部」摂取した場合の話に基づく。

NNJニュースが9月26日、文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」(果実類/かんきつ類/レモン/果汁、生)を使い計算したところ、レモン一個は120gで、うち果汁は36gだからビタミンCは「18 mg」となった。120g(果汁)で計算すると「60 mg」だ。皮の部分に多くのビタミンCが含まれるため、あながち「レモン一個に含まれるビタミンCはレモン4個分」は嘘ではない。

 

一方で、清涼飲料や果汁飲料ではレモンの皮まで使うことはまずない。破棄されるのが普通だ。居酒屋で出している「生レモン酎ハイ」の、レモンの皮まで食べる人もまずいない。マーマレードでは皮を使い、はちみつ漬けでは皮も漬け込むけれども、レモンの皮が「捨てるもの」か、「食品」かで見解が異なってしまう。

ネットでは、

「えぇ・・・じゃあ、これまでの食品に含まれるレモン○個分のビタミンCというのは、実際のレモンに換算すると表記の4分の1だったわけか」

「レモン1個食え言われても普通無理やし、別にええんちゃう」

「果汁換算で話は終わりなのに、屁理屈こねて4個分言うてるだけやん」

などといった感想が掲示板に出ている。

 

(リンク)

米津玄師 MV「Lemon」(米津玄師 YouTubeチャンネル)