福島テレビが印象操作どころか「詐欺」レベルの報道をしていると、ネットで「大炎上」した。

新型コロナウイルス感染者への差別や中傷が報道される中、福島テレビは大阪大学の研究者らの調査結果を情報番組内で放送した。「感染したのは本人のせいか?」というもので、日本人は圧倒的に「本人のせいと思っている」かに見えるグラフを出し、「欧米の3~4倍」とした。このグラフが「詐欺グラフ」と指摘されただけでなく、研究者に承諾を得ずに放送したことも分かった。研究者らは「本人のせい」と思う日本人は「少ない」と主張したかったのだ。

 

日本人の大半が「コロナ感染は本人のせい」と思っている?

 

問題となったのは2020年9月17日放送の福島テレビの夕方の情報番組「テレポートプラス」。白河市が新型コロナ感染者に対する不当な差別や誹謗中傷を解消するため、「思いやり条例」を制定するというニュースの後に1枚のボードを出した。ボードには日本、アメリカ、イギリスの棒グラフがあり、日本人の大半が「コロナ感染は本人のせい」と思っているように見えるものだった。そして「欧米の3~4倍」と書かれていた。

しかし、実際の数字は「本人のせい」と思う日本人は全体の15%程度だったため「明らかな印象操作だ!」とネットで「詐欺グラフ」扱いされ「大炎上」した。

 

この調査は大阪大学の三浦麻子教授らの研究グループが日本、アメリカ、イギリス、イタリア、中国の5カ国、それぞれ400人~500人の一般市民を対象に3月~4月に行ったもの。新型コロナ感染は「本人のせいだ」「自業自得だ」の問いに対し、①「まったくそう思わない」②「あまりそう思わない」③「どちらかといえばそう思わない」④「どちらかといえばそう思う」⑤「ややそう思う」⑥「非常にそう思う」の6つの中から一つを選ぶ。福島テレビが紹介した表は、①~③、④~⑥をそれぞれ合計し「そう思う」「そう思わない」の2つをグラフ化した。それで「そう思う」は日本が15.25%、アメリカ4.75%、イギリス3.48%、イタリア12.32%、中国9.46%という数字になった。番組では日本、アメリカ、イギリスの3カ国だけのせて「そう思う、は欧米の3~4倍」と表示したが、日本とイタリアの数字はそれほど離れてはいない。

 

15%というのは「ほとんどの人はそう思っていない」ということです

 

ネットでの「炎上」騒ぎに反応したのがこの調査を行った研究者らだ。三浦麻子教授は19日、自身のTwitterで、

「どこのテレビ局でしょうか.ご連絡いただいておりませんので防ぎようがないのですが,我々の調査結果を紹介されたのだとしたら,端的に迷惑です」

と憤った。

広島修道大学の中西大輔教授もTwitterで、

「国際比較をすると相対的に日本で『本人のせいだと思う』が多いが、それでもせいぜい15%で、ほとんどの人はそう思っていない、ということです。われわれは取材を受けるたびに相当慎重にこのことを強調してきましたが、いきなりこういう紹介の仕方をされるというのは許し難い。あのようなデータの紹介の仕方は視聴者に対して全く誠実ではなく、ありえないものです」

慶応大学の平石界教授も、

「元データを出した者として、こういう使われ方には文句を言いたい。確かに国間で比べると日本で「そう思う」が多いのは事実だが、国内では少数派であることも事実で、一方だけを強調するのはミスリードも甚だしい。酷い」

とした。

 

誤った印象を持たせてしまったこと改めてお詫びいたします

 

福島テレビは9月21日、事の経緯と謝罪を公式Twitterで行った。それによれば、あのグラフは「80%のところから始まっている」(つまり0%~79%の部分を切って80%~100%部分を表示した)と説明。三浦教授からも誤解を招くと指摘されたとし、新たに0%~100%全体のグラフを表示した。そして、

「視聴者の皆さんにも誤った印象を持たせてしまったこと改めてお詫びいたします」

と謝罪した。

 

ネットでは、

「80パーセントから始まるグラフてなんじゃ?」

「やったことの謝罪は割とどうでもいい どうして『日本下げ』の印象操作をしようとしたのか説明してほしいわ」

「印象操作が目的だから、放送した時点で目的達成だもんねえ。
定型の謝罪までがシナリオ通り」

などといったことが掲示板に書かれている。

 

(リンク)

福島テレビ公式YouTubeチャンネル