写真などデジタル素材販売の「PIXTA」が、2021年9月8日に謝罪文を掲載した。デジタル庁事務方トップの石倉洋子さん(72)が、同社の画像素材を購入することなく無断使用していたことを、石倉さんのTwitter上で注意してしまった、からだという。

ところが、こうしたSNS上での注意は今後も続ける事になるのだという。ネット上では「なぜ謝罪するのかが分からない」、と言う声が大きく「盗難に遭った被害者が加害者に謝罪しているようだ」と首を傾げる人もいる。

ブログの掲載画像に「PIXTA」の透かしがあった

今回の「事件」は、9月1日に石倉さんがデジタル庁事務方トップに就任した、とのニュースから始まっている。「デジタルの知識があるわけではありません」と挨拶したことからネットでは、石倉さんの実力はどれほどのものか、との議論になり、HPに行き着いた。ブログに掲載されていた画像に「PIXTA」の透かしなどがあったため、購入せずに無断使用している、と騒ぎになった。これを複数のネットニュースが取り上げた9月3日、騒動が起こる。

正規にご購入頂いているかも含め、確認したい

PIXTAの説明によれば、石倉さんが画像素材の利用規約違反をしている、との報告を同社の執行役員が3日の朝に受けた。その画像は石倉さんの個人サイトにあることを確認した。通常通り、違反している石倉さん個人との連絡を試みた。しかし、サイトには連絡先がなく、石倉さんのSNSにはダイレクトメッセージ(DM)が送れない状態だった。こうした場合の最終手段は、SNSに直接返信(リプライ)。執行役員は、役員個人のTwitterアカウントを使って石倉さんに、

「PIXTAの伊藤と申します。本ツイートの記事含む、石倉様の公式サイトでPIXTAの透かしが入った画像利用を複数確認しました(弊社の利用規約違反です) 画像を正規にご購入頂いているかも含め経緯の確認と、適切な画像の利用方法をご案内したく、DM等でご連絡いただけないでしょうか」

とリプ欄にメッセージを送った。これがネット上で批判を浴びることになる。

「公然といきなり刺す必要があるの?」と批判

PIXTAのこのメッセージに対し、

「この指摘の仕方よ。公式の交渉窓口持つ相手に、公然といきなり刺す必要があるのか? それともこの指摘の仕方はPixta社としての公式の手法なのだろうか?」

「うわ、、、さすがにこのやり方は、、もうPIXTA使うのやめますね。お疲れ様でしたー」

「あのさ、言いたいことはわかるけどSNSでやることですか?法務や顧問弁護士を通じて対応を任せたらいいだけです」

と言った批判が起きた。石倉さんはこの日、報道陣とのグループインタビューで自分の非を認めた。いつもは著作権に気を付けているが、今回は急ぎでやってしまい気付かないで使ってしまった、と謝罪。ウエブサイトを非公開にした。

「盗まれた側が謝罪…上級ってやっぱすげえわ」

これで一件落着と思われた9月7日、PIXTAはHP上に「弊社の画像素材の利用規約違反をSNS上で指摘した件について」との謝罪文を公開した。謝罪は2つあり、一つは執行役員個人のアカウントで対応したこと。そして、最終手段だったSNS上での指摘は早計だった、というもの。

「SNS上のリプライで通達すること、その他の対応による影響を十分考慮することなく、伊藤個人のSNSアカウントで本件に対応したことで、不要な不安感を招く結果になってしまった点についても、対応方法として軽率であったこと、お詫び申し上げます」

ただし、今後は自社、または自社事業の公式アカウントを使う事を徹底するが、手段がない場合は今回同様にSNSの公の場で指摘する、としている。ネットではこの謝罪に関し、「盗難に遭った被害者が加害者に謝罪しているようだ」と首を傾げる人もいる。なぜ謝らなければならないのか、というのだ。

「傘盗まれたから返せって言ったら『人が周りにいるのに恥をかかせて酷い!』って言われてるようなもんじゃん」

「盗まれた側が謝罪せんといかんのか…上級ってやっぱすげえわ」

「泥棒とその支持者が居直る社会。しかも泥棒が政府の要人」

「PIXTAごときがデジタル庁に歯向かうからこうなる。宣伝してくださってありがとうございます、と言っておけばいいものを」
などといったコメントが掲示板に書き込まれている。

 

(リンク)

ピクスタ株式会社の謝罪文

「弊社の画像素材の利用規約違反をSNS上で指摘した件について」

https://pixta.co.jp/news/1522