シンガポールの新型コロナウイルスの新規感染者数が2021年9月22日、1457人となり昨年4月20日以来の過去最多を更新した。死亡者数は過去2か月間で31人になり、シンガポールでの新型コロナ関連のほぼ半分(23日まで68人)と激増した。
シンガポールは8月末まで、新型コロナワクチン接種完了率が8割を超えている。
死者数が過去2カ月で31人と総数の半分近付くに
シンガポール最大の新聞「ザ・ストレーツ・タイムズ」電子版(9月23日配信)は、保健省(MOH)の発表を引用し、新型コロナ感染者数の激増を伝えた。22日が昨年4月20日の1426人を上回る1457人と過去最多を更新。人口の約570万人を日本の人口に当て嵌めると1日3万人を超える感染者になる。死者数は同日まで68人で、21日、22日で合計3人が死亡。死者数も過去2カ月で31人。これは総数の半分近くの数字と急増している。病院の入院患者は減少しているが、集中治療室にいる重篤な患者は前日から2人増え19人になった。22日の感染は1277例が地域社会で起こり、176例が寮の居住者間で発生した。どうしてワクチン接種完了者が80%を超える「ワクチン大国」のシンガポールで感染者、重篤者、死者が増えているのか。
混乱する医療機関「ホットラインに繋がらない」
問題となっているのはワクチン接種完了後に起きる「ブレークスルー感染」。「シンガポールはワクチン接種者の増加で外食を再び解禁したが、それが人との接触を増やし感染者が倍増する結果となった」、というのがメディアの共通した報道だ。地元メディアはカフェなどに人が溢れる写真を掲載し、警告を呼び掛けている。23日配信の「ザ・ストレーツ・タイムズ」の別の記事は、感染者の激増により医療機関が混乱していると報じている。保健省(MOH)ホットラインに電話が繋がらない、介護施設に入れとの連絡が来たため準備したがその後の連絡がない、抗原迅速検査(ART)で陰性が出たが外出を許可する担当者と会ない、感染したシングルマザーが入院し自宅には感染した中学生の息子と感染していない2人の娘と一緒に暮らしている、といったことが書かれている。
(リンク)
「ザ・ストレーツ・タイムズ」