リュート、アーリーギター演奏家、研究家の竹内太郎さん(1961年生まれ)のNHK批判がネットで話題になっている。Eテレから「リュートはなぜ衰退したか」の取材を受け説明したところ、番組は結論ありきで作られていた。番組内容の明らかな間違いを指摘したのだが「映像はもうできている」「視聴者には知らせなくていい」と断られた。NHKの視聴者は制作側にものすごくバカにされている、とした。
間違いの結論ありきで番組を作っていた
竹内さんは2022年1月13日から15日にかけ、NHKの対応とリュートに関する情報をTwitterに投稿した。リュートに関してはNHKが間違った内容を放送するため、正しいことを知って欲しいという思いからだ。
「NHKニュースの捏造が話題になってるけど、今日、Eテレの『ギターの歴史』に関しての取材受けた際、番組内容の明らかな誤りをいくつか指摘したら『もうその部分は作っちゃったんで、このままで行きまーす』と言われ、体質は同じなんだなーと思いました」
「Eテレの担当者、僕が番組内容の間違いを丁寧に説明した際『よくわかりました。まったくその通りです』と言ったにも関わらず、『視聴者は理解できないだろうし、知らせなくて良いですね。もうその部分は作っちゃったし』と続けた。NHKの視聴者は制作側にものすごくバカにされている」
制作側に苦言なく従う芸術家や研究者が多い
何があったかといえば、リュートはなぜ衰退したのかという話題で、NHKはリュートは弦が多すぎるため複雑すぎて弾く人がいなくなり、ギターに取って代わられた、という結論ありきで番組を作っていた。竹内さんはその認識は誤りだとした。リュートが弾かれなくなるのは1600年代末で、ギターが再流行するのは1760年頃。キターがリュートを駆逐したわけでは無い。リュートが衰退した原因を簡単に言えば、音楽の流行が変わり楽器の特性に適合しなくなったから。
「『リュートが弾かれなくなった理由の一つは、通奏低音とカンタービレの(バロック)様式から機能和声的でアルペジオの(古典)様式に流行が移ったから』と言うと、担当者は『Eテレの視聴者には難しすぎるから「弦が多すぎたから」にします』と言った。視聴者もリュートも僕もバカにされすぎ』
と竹内さんは投稿した。また、Eテレの担当者がバロックギターを番組で見せたいと言ったので、所有しているオリジナル18世紀ギターの提供を申し出たところ、「いいです!」と断られた。内容も楽器も本物に興味がないことが分かった、という。日本ではNHKなどのメディアに関係すれば知名度が上がり仕事にも影響するため、制作側に苦言することなく従う芸術家や研究者が多い。自分は海外を活動拠点としていて、日本のメディアには興味がない。だからこうして本音が書ける、と竹内さんは綴っている。
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竹内太郎公式Twitter