三重県伊勢市の馬瀬川(まぜがわ)で、錦鯉の稚魚の放流イベントが2022年3月13日に行われた。それをテレビなどのメディアが取り上げたところ、「生態系が壊れる」などとネットで激しい反発が起こり炎上した。
鯉の放流イベントがあれば決まって炎上騒ぎが起きる。NNJニュースが伊勢市環境課に話を聞いてみたところ、地域ボランティアが行った事であり「事前に知っていたなら放流を止めさせていた」と語った。
生き物が増え子どもたちが遊べるように
東海テレビ、CBCテレビなどによれば、川をきれいにする活動を行う地元のグループや、用水路の工事を行う会社らおよそ30人が、伊勢市内を流れる馬瀬川に錦鯉の稚魚200匹を放流した。住宅開発による生活排水などの影響で鯉やフナなどが一時激減したため、水質を改善し昔の姿を取り戻すために行われた。参加者は、
「魚とかザリガニとか、いろんな生き物がたくさん増えて地域の子どもたちが遊べるようなそんな川になればいいかなと思っています」
と語った、となっている。ネットでは「未だにこんな事を?」「ただの環境破壊です」「生態系が壊れる」などと騒ぎになって炎上した。
法的な規制が無いのがネック
鯉は「鯉のぼり」などの印象から日本特有の魚のように思われがちだが、一部を除いて殆どが外来種だ。また、国際自然保護連合(IUCN)が定める「世界の侵略的外来種ワースト100」では、魚類は8種指定され、鯉がいる。鯉を放流することで起こる可能性として、雑食で食欲旺盛のため貝類、水棲昆虫、水草の芽など何でも食べる。これによって水質が低下しドジョウやフナ、メダカといった在来魚の減少が起きる。水底で餌を探すため泥が上がり日光を遮り水草が育ちにくくなる。水質の悪い所でも生きていけるため、最後に残るのは鯉だけ、などということにもなりかねない。また、錦鯉は中国ルーツの外来種のため、わずかに残っている在来の鯉が「遺伝的撹乱」によって消滅する危険性もある。伊勢市環境課の担当者はNNJニュースに対し、鯉は生態系に悪影響を及ぼすため、
「事前に知っていたなら放流を止めさせていた」
と語った。ただし、「法的な規制は無いのです」とした。そのため強制はできないし、放った稚魚の回収はできないのだという。
(リンク)
CBCニュース「昔の川の姿取り戻そうと鯉の稚魚200匹を放流 三重県・伊勢市の馬瀬川」