「安倍晋三元首相がお亡くなりになったとの情報が入りました」。元TBS記者でジャーナリストの山口敬之氏(56)が、そう自身のFacebookで報じたのが2022年7月8日午後3時36分。昭恵夫人(60)が奈良に到着し搬送先の病院で対面、間もなく死亡が確認されたのは午後5時3分。

山口氏に対し配慮とリテラシーが無い、との批判が集まるなか、山口氏は安倍元首相の複数の近親者に確認を取った。ジャーナリストとしての生き方、と突っ撥ねた。ところが10日、死亡時刻は「誤報」だったと謝罪する。誤報の原因を「間違った情報が伝えられた」と、安倍元首相の近親者(情報提供者)に押し付けた。なんとも話が支離滅裂、メチャクチャな状態となっている。

私の情報発信に近親者は深く感謝した

山口氏は公式発表より早く死亡をFacebookで伝え、批判が集まると、

「各方面に二重三重の確認を取った上で公開したのであって、ご家族への配慮や情報リテラシーの面でも問題があったとは思いません」

「確認された情報は出来るだけ早く報道する」というジャーナリズムの基本に立ち返り、最終的に判断、と押し寄せる批判を突っ撥ねた。そして翌9日に配信された「月刊hanadaプラス」でこんなコラムを掲載した。安倍元首相の近親者から連絡が入った。

「心肺停止から1時間以上経った。もう蘇生の可能性はない。家族の了解を得て輸血を止め次第、県立(医科大学病院)で死亡会見をする。16時過ぎになるだろう」

とのやり取りを明かす。「どこかのメディアが速報するかも」、という話しを聞き、自分が黙っていることに良心の呵責を感じた。そして報道した。批判を浴びることになったけれども、

「私のSNSでの発信を後押しした近親者からは深く感謝された」

と自慢した。ところがである。10日、自身のFacebookに「深く謝罪します」との記事を掲載することになる。そして、死亡時刻は誤報であり、誤報を流してしまったのは、情報提供してくれた安倍元首相の近親者のせい、とした。

私に誤った情報が伝えられた

10日のFacebookの謝罪文にはこんなことが書かれている。安倍元首相に関し、生還不能状態、家族の到着を待って蘇生措置(輸血)を終了する、という情報を得ていた、と前置き。そして、誤報になってしまった原因としてこう説明した。

「15時半過ぎに『昭恵さんが奈良に到着した』という情報と、さらに『対面後に蘇生措置を止めた』という連絡がありました。ところが、昭恵さんはその時まだ奈良に向かう車中でした。情報を下さった方は『奈良に向かっている』『対面後に蘇生措置を終える』という情報を、誤って私に『奈良に到着した』『蘇生措置を終えた』と伝えてしまったのです」

9日のコラムと10日の謝罪文を読み比べれば、いかに支離滅裂でメチャクチャな説明であるかが分かる。9日のコラムでは明らかに昭恵夫人の到着前、蘇生措置が続いている時点で、他メディアが速報する前に出した、と読める。

ただ単に他人のせいにしてるだけ

ネットでは、

「この言い訳はフィクションですよね? 誤報なら誤報を垂れ流した奴を明らかにしろよ」

「山口氏、批判された当初は『二重三重に確認を取った』と反論していたのに」

「『情報をくれた方が誤った』と、あくまで原因は相手側で自分は騙されたと言ったニュアンス」

「『延命措置は終えたと聞いた』が嘘だよ。自分から嗅ぎ回った何人かの情報元からは、恐らく同じ情報しか来てない。(まだ延命措置中だという情報) ただ単に他人のせいにしてるだけ」

といった事が掲示板に書き込まれている。

そもそもこの問題はジャーナリストとして、信頼できる情報を先に得た場合はどう扱うのか。例えそれが元首相の死亡事件だったとしても、ということだった。だから山口氏の行為に賛同し、ジャーナリストとして讃える声も出ていたわけだ。批判を突っ撥ねていた山口氏はそれをいきなり誤報扱いにし、謝罪した。責任を「信頼できる安倍元首相の近親者」に押し付けるというトンデモ行為を行った。

 

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(リンク)

山口敬之氏のFacebook

https://www.facebook.com/noriyuki.yamaguchi

月刊hanadaプラス「安倍元首相逝去 深い悲しみと反省 山口敬之【WEB連載第12回】」

https://hanada-plus.jp/articles/1078