人口2300人の小さな町、福井県池田町が年間20人ほどいる移住者に対し「都会風を吹かさないよう」「品定めされることは自然」と提言。移住者から批判が出ているとの記事を共同通信が配信した。
ネット上でも「村八分をイメージさせる」「移住者だけでなく地元の人もバカにしている」、との批判が出ることになったのだが、NNJニュースが町に取材すると担当者は困惑していた。移住者からは何の批判も出ていないし、言ってないことも記事にされたのだという。
「広報誌の表現として不適切」?
共同通信が2月8日に配信した記事。それによれば1月中旬に発行した広報誌「広報いけだ」に掲載されている「池田暮らしの七か条」。移住者への提言として「都会風を吹かさないよう」「品定めされることは自然」といった表現があり、移住者らから「広報誌の表現として不適切だ」と批判が上がっている。提言の作成は住民から「移住者が共同作業に賛同しない」との相談が町にあったから。それで33地区の区長会と協議、作成、掲載した。町は「意図が分かるようにするべきだった」と答えたが、修正予定はないとした、と書いている。
自己価値観を押し付けないこと
NNJニュースが同広報誌を調べたところ、確かに田舎暮らしの経験がない人にとっては刺激的な内容だった。ただし、それなりに丁寧に書かれている。第2条は「都市には無かった面倒さの存在」。生活環境や祭りなどの文化の保全に協力して欲しい、とあり、草刈り機は必需品。
「『面倒だ』『鬱陶しい』と思う方は、池田暮らしは難しいです」
第4条は「今までの自己価値観を押し付けないこと」。ご近所などとの密な暮らしがあり、それは地元の皆で培って根付いたもの。
「これまでの都会暮らしと違うからといって都会風を吹かさないように心がけてください」
第5条は「プライバシーが無いと感じるお節介がある」。お節介は、仲間入りする人への地元民の愛情表現だと理解して欲しい。
「『どんな人か、何をする人か、どうして池田に』と品定めされることは自然です」
となっている。
「修正予定なし」とは言ってない
NNJニュースが2月9日、町に話を聞いたところ、担当者は非常に困惑していた。というのもこんな具合だからだ。
「移住者の方の心の中は分かりませんが、今回の広報誌に関する苦情は私どもには全くありませんでした」
また、記事にある「移住者が共同作業に賛同しない」という相談。それも町には寄せられていないという。そもそも賛同せずに住むわけがないからだ。移住者は県の内外からやってくる。都会から来る人もいれば、そうでない人もいる。仕事は農業、観光業などに就職したり自分で商売を始める人もいる。定年退職後に田舎でのんびり過ごすことが目的の人もいる。そんな移住者は共同作業にもしっかり参加。全員が町にとけこんで暮らしている、とした。ではなぜこの記事が出て大騒ぎになったのか?。担当者は、
「表現がよくなかったのだと思います。区長会で協議をした内容ですが、あくまで快適に、早く町にとけこんで欲しいとの思いで考えたものであることは間違いありません」
とした。また記事にある「修正予定はない」とは言っていないそうだ。広報誌に載せたのは「集落共同体 暮らしのテキスト」の一部抜粋。これから集落ごとにテキストを作成し移住者に配る。その際には表現を修正する予定だと話していた。担当者の言うことが正しいとすれば、共同通信の記事はデタラメということになる。
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(リンク)
共同通信「移住者に『都会風やめて』広報誌に提言、福井・池田」
https://nordot.app/995947957127364608
福井県池田町「広報いけだ」の当該箇所
https://www.town.ikeda.fukui.jp/gyousei/
gyousei/1941/p002473_d/fil/kouhou1.pdf
福井県池田町