京都市が新型コロナ感染対策として公式HPに出した4コマ漫画が「会話が犯罪のよう」「気持ち悪い」などと「炎上」している。新しいコミュニケーション!?編」というタイトルで、ラーメン店を訪れた3人の家族がラーメンを食べ、一言も会話をせず、手や指で「おいしい」などの表現をする、というものだ。コロナ禍での「黙食」の在り方を示した。
親指を突き出して「おいしい」というサイン?
この4コマ漫画は京都市のHP「京都市情報館」に2021年2月12日に掲載されたもの。
新型コロナ感染拡大防止のため「黙食(もくしょく)」するよう呼び掛けている。
漫画の内容は主人公の「イサムさん」が近所のラーメン店に出かけると、父親と小学校低学年くらいの男女の子供がラーメンをすすっていた。店内はとても静かだった。壁には「黙食」のポスターが張ってあった。親子に会話は無く、食べている途中で子供たちは親指を突き出したり、両手を伸ばして頭の上で「まる」を描いた。おそらく「おいしい」というサインと思われる。「イサムさん」の行動はよく分からないのだが、カウンターに出された出来立てのラーメンに左手を添え、右手の親指を上にあげ「うまいっ!」と心で叫んだ。まだラーメンに箸を付けていないように見える。親子が店を出る時に「おいしかったね」「また来たい!!」とマスク越しに話す。そして「静かに楽しんだ食事は、とてもおいしく感じました」「『いいね』と思える行動を!」という説明で終わる。
「コロナとか以前の問題だよ、これは人権侵害」
この漫画が京都市情報館の公式Twitterで紹介されると「会話が犯罪のよう」「気持ち悪い」といったリプライが多く寄せられ「炎上」状態になった。
「『馬鹿だなぁ…』という感想しか出てきませんでした。新しいコミュニケーションじゃなくて、実質的なコミュニケーションの禁止では?」
「気持ち悪い。人間社会をぶっ壊したいのか?コロナごっこを過剰に演出するな」
「子どもの自殺が増えています。これ以上子どもにストレスを与えるような提案はやめてください。責任をとれるのですか?」
また、この話題を取り上げた掲示板では、
「コロナとか以前の問題だよ、これは人権侵害」
「ハンドサイン要らんやろ」
「ちぃーとも『いいね』と思えん。人である事をやめたらいいよ」
といった意見が出た。
この「気持ち悪さ」の原因は、「黙食」を謳う中で舞台になったのが音を立てて麺やスープを食すことが一般的なラーメン店であること。親子に会話が無いこと。会話を封じられた子供が身振り手振りで意思を伝えていること。これが京都市の「抑圧」に感じられ、「人権侵害」と映る人もいた、からなのだろう。舞台がラーメン店ではなく、登場人物が全て「大人」だったとしたら、また違った反応になったのかもしれない。
(リンク)
マンガが掲載されている「京都市情報館」HP
https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000274122.html