安倍晋三元首相が銃撃され、死亡した事件。警備体制の検証が進められる中、そもそも安倍元首相に対し危険な前兆があっても「『犯人』の囲い込み、排除することは違法」と取れる、ある「事件」が今、ネット上で大きくクローズアップされている。
安倍元首相が街頭演説に立つと「安倍辞めろ！」コールが止むことが無く、抗議活動が行われ演説が止まってしまう事態があった。危険を感じた警察は、厳重な警備と、場合によっては取り囲み、排除をしてきたが、これに違法判決が出ていた。
１時間以上「安倍やめろ！」抗議活動続く
「こんな人たちに、負けるわけにはいかないんです」。安倍元首相が2017年7月1日東京秋葉原、都議選の応援演説で発した言葉だ。１時間以上に渡る「安倍やめろ！」コールに妨害され、思わず発した。この抗議は組織的な演説妨害であり、公職選挙法225条違反に当たると思われるが、メディアは安倍元首相の言葉だけを切り取り報道。批判の目を向けさせた。自民が大敗した原因ともされている。
以降も「安倍やめろ！」は全国で激しくなる。警察官職務執行法に、「人の生命、身体に危険が及ぶ恐れがあり、急を要する場合には避難させることができる」「犯罪が行われようとしている場合には制止することができる」がある。警察は安倍元首相が街頭に立った時のヤジ、抗議行動はこれにあたると判断。目に余る場合は取り囲み、排除をしてきた。安倍元首相を「守って」来たわけだが、この警察の行為は違法、という判決が今年3月25日に下された。つまり、安倍元首相が街頭演説をする際などに、ヤジや抗議行動があっても、警察は危険を感じ囲い込み、排除をすることが難しくなった。それはこういう事が理由だ。
表現の自由を侵害した警察の違法行為
2019年7月15日、JR札幌駅前で演説した安倍元首相に対し、いつものように「安倍やめろ！」があった。その中の2人を「トラブルが起きる危険が切迫していた」とし、多数の警察官が後方に排除した。うち1人は警察官が1時間に渡って付き添い、行く手を阻んだ。2人は警察の行為は不当とし、それぞれ北海道を提訴し330万円の損害賠償を求めた。その判決が下された。札幌地裁は、小競り合いはなく、騒然とした雰囲気にもなっていなかった。警察による排除は暴力的なものである。公共の福祉の観点から排除はやむを得ないとは解することができない。
「安倍総裁の街頭演説の場にそぐわないと警官が判断、2人を排除したもの」
「表現の自由を侵害する警察官の違法行為である」
道に対し合計金88万円の賠償請求を求めた。
この判決によって安倍元首相の街頭演説の際、警察が取り締まりに躊躇してしまうようなことが起きるのは想像に難くない。
全ての警察機関は判決を重く受け止めろ！
日本共産党の「しんぶん赤旗」は3月31日付けの「主張」で、
「時の首相や政権に異議を唱える表現や言論に対して警察が介入し、規制や制限を加えることは、民主主義の土台を掘り崩します」
「政権への異論を封じた警察の対応を違憲・違法と明確に断じたことは画期的です。道警にとどまらず、全ての警察機関は判決を重く受け止めるべきです。表現の自由侵害を繰り返すことは許されません」
と書いている。道はこの判決を不服として札幌高裁に控訴しているが、この参院選を控え、札幌地裁の判決を改めて取り上げるメディアもあった。ネット上では今回の銃撃は、奈良県警「だけ」の問題ではないという声が多い。そして演説をする安倍元首相ではなく、抗議活動で安倍元首相に迫る「反安倍」勢力を守る判決はなぜ出されたのか、首を傾げる人も多い。
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(リンク)
北海道新聞「道警ヤジ排除に『違法』判決 浮かんだのは『表現の自由』への配慮欠く姿勢」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/689174
産経新聞「安倍晋三首相の演説を妨害した『こんな人たち』を封じた聴衆の『声』 『選挙妨害をやめろ』はメディアにも向けられた」