「ヤシマ作戦」というワードが2022年3月22日にトレンドワードの上位に入った。テレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の第六話に登場する作戦だと思っている人が多く、メディアもそう報じているが、だいぶ違っている。
アニメでは電気を一点に集めるため日本中が停電した。今回の「ヤシマ作戦」は2011年に起きた東日本大震災から生まれた「造語」で、節電を呼び掛けるもの(節電キャンペーン)。ネットでは「気持ち悪い」「古臭い」といった批判も出ている。
エヴァの「ヤシマ作戦」とは異なるもの
3月16日に発生した福島県沖の地震で、発電所の一部が停止。関東圏で厳しい寒さとなった22日、東京電力、東北電力が節電の協力を呼びかけ、政府も「電力需給逼迫警報」を発令した。そうしたなか、Twitterで急上昇したトレンドワードが「ヤシマ作戦」だった。メディアはこぞって「新世紀エヴァンゲリオン」の「ヤシマ作戦」と報じた。しかしこれに顔を顰める人もかなりの数いるのだ。今使われている「ヤシマ作戦」というのは、節電キャンペーンのワードだからで、元ネタは「エヴァ」なのだが内容が違う。
アプリ「特務機関NERV防災」が拡散した
まず、「エヴァ」の「ヤシマ作戦」は、第5使徒「ラミエル」を超長距離射撃砲を使って射撃しようと日本中から電力を集中させた作戦のこと。日本中の明かりが次々と消える様子が描かれた。今回の「ヤシマ作戦」は、2011年の東北太平洋沖地震の影響で、電気の需給状態が逼迫。節電を呼び掛けるために使われた。その先導を担ったのが防災アプリ「特務機関NERV(ネルフ)防災」を運営するゲヒルンの 石森大貴社長(31)。同アプリを通じ「ヤシマ作戦」という節電キャンペーンを始めたのだ。これに合わせ「エヴァ」の制作サイドに許可を申請、賛同を得た。そこから「特務機関NERV防災」の表示も「エヴァ」のスタイルになった。22日の同アプリ節電呼びかけも「エヴァっぽい」と話題になったが、10年前からこのスタイルなのだ。
11年前の事を知らない人が多すぎる
この「ヤシマ作戦」、東日本大震災では大きな話題となるも、以降は名前が出る程度で、多くの人に忘れられた存在だった。ところが今回の「電力需給逼迫警報」発令。ジャストなタイミングになったようで、一気にトレンドワードとして急上昇した。しかし、11年前の事を知らない人がいるため情報が錯綜した。知っている人にとってはあまりいい印象を持っていない人もいる。「ただのオタクのバカ騒ぎ」「騒いだ奴こそ電力を使っていたはず」といったことも囁かれた。ネットでは、こうした批判も掲示板に出ている。
「うわぁ懐かしいなぁ あったあった当時の気持ち悪いノリ」
「今時ヤシマ作戦とかオッサン過ぎるだろ 思い浮かぶこと自体がもう加齢臭」
「ヤシマ作戦って、言いたいだけな人が多かったような」
「いい加減このノリ寒いからやめてほしい」
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「特務機関NERV防災」Twitter