香川県は日常生活でネット・ゲームの利用を見直したい子供を対象に、日常生活を振り返るためのキャンプを開催する、と発表した。ここではゲーム機やスマホに触れることが一切許されない。
同県は「ネット・ゲーム依存症対策条例」を昨年4月に施行。ゲームの遊戯時間を平日60分、休日90分とのルールを定めた。キャンプは同事業の一貫として実施するが、ゲームに恨みがあるのか?といった批判が出て、県のあまりの行き過ぎな展開に「ゲーム脳」ならぬ「うどん脳」などと揶揄されることにもなった。
ゲーム利用に関する個別面談が行われる
香川県によれば、このキャンプはゲームやスマホに一切触ることを許さない「オフラインキャンプ」。日常生活を見直したい小学5年生~18歳以下方を対象にする。「個別面談等によるネット・ゲーム利用の振り返り」も行われる。主催はネット・ゲーム専門外来がある三光病院(高松市)。一定期間ネット環境から離し、キャンプファイアや調理活動などに参加させることにより、ゲームでは得られない満足感や達成感を味あわせ、生活環境を変えるきっかけにするのだという。募集は12人程度で参加費用は8000円。メインキャンプは8月7日~11日。県の自然センターを利用する。11月6日にはフォローアップキャンプがある。
ゲームなんかに「基本的人権」など無い
香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」とは何か。県民、特に子供を「ゲーム障害」から守ろうというのが狙いだ。ゲーム関連企業への締め付けもあり、企業は県住民の依存症対策に協力しなければならないほか、依存症にならないよう提供コンテンツに自主規制を求める。親に対しては、ゲームで遊ぶ時間を平日は60分、休日は90分、午後10時以降は禁止のルールを設けた。とにかくゲームが憎いようで、子供に悪影響を及ぼすの諸悪の根源、と読める。
この条例を巡っては昨年9月、県内の男子高校生とその母親が、基本的人権を損なう憲法違反だとして高松地方裁判所に160万円の賠償を求め提訴した。この親子を応援する声はネット上で大きく盛り上がった。これに対し県がいかにゲームをトンデモなものと見ているかのエピソードがある。先の訴訟の高松地裁第3回口頭弁論(昨年6月14日)では、
「原告らが主張する『eスポーツを楽しむこと』は、憲法13条が保障する基本的人権ではあり得ない」
と、ゲームを楽しむことを人権と結びつけることは馬鹿げている、とした。
2つ目の訴訟と、「ゲームは人生を豊かにする」
さらに昨年10月18日には2つ目の訴訟が起きる。元高校教師ら県民5人が、こんな条例を守るためなぜ弁護士費用等に税金を使うのか、と訴えたのだ。ゲーム関連企業からも県に対する抗議が始まる。
ゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」は、香川県の地元紙、四国新聞に15段広告を12月20日に掲載した。
「『勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい』と言われる未来があるかもしれない(中略)ゲームの捉え方も変わりはじめた。プレイしながら試行錯誤を繰り返して、自分の成長を実感。難しいステージをクリアすることで、自己肯定感が高まる。仮想空間上で世界中のユーザーと分かち合う。ゲームは、人生を豊かにする力がある」
一方、先の訴訟の原告の代理人が今年3月に辞任。元男子高校生と母親は4月25日に訴訟の取り下げを申請した。どうしてこうなったのか分からない展開に、「香川県の闇」との声も上がった。県側は訴訟の取り下げに同意しなかったため、審理が継続され5月16日に結審。8月30日に判決が言い渡されることとなった。
「何年後にはネット環境すら無くなるんか?」
そもそも「ネット・ゲーム依存症対策条例」、子供にとってネットは身近なインフラであり、ゲームでのコミュニケーションも日常的になっている。条例は噴飯もの、という意見がネットでは圧倒的だった。ところがそうした批判をものともせず、香川県の今回のキャンプ企画である。ネットでは、
「キャンプはキャンプで楽しめばいいのに、反ゲーム・反スマホのシンボルみたいに担ぐのやめろよ」
「これが『うどん脳』か」
「ますます若者、そしてIT関連会社が香川から離れそうやな」
「何年後にはネット環境すら無くなるんか?」
などといったことが掲示板に書き込まれている。
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(リンク)
香川県「 オフラインキャンプを開催します」
https://www.pref.kagawa.lg.jp/shogaifukushi/game.html
香川県「ネット・ゲーム依存症対策条例」