「嫁に勧められたマンガを読んだ」。ある靴下店がそんな話を公式ツイッターでつぶやいたところ、「嫁」の文字を使うのは「差別」に当たる、との抗議が来たため謝罪する、という出来事があった。

 

嫁から「とりあえずこれを読め」とマンガを全巻渡された

 

問題となったのは「靴下屋」を展開する製造・卸・販売のタビオの公式ツイッター。2020年11月2日に、

「ところで、明日は休日ですね!皆さんは何します!? 私は、嫁から『とりあえずこれを読め』と佐々木倫子先生の『Heaven?』を全巻渡されたので読みます(ドラマ版を見ていて、「これ原作見てないわ」と言ったら、速攻でした。)」

と呟いたところ、抗議が来たため、4日に、

「こちらのツイートで、『妻』とするところを『嫁』としてしまい、不適切な表現となってしまいました。ご指摘いただきまして誠にありがとうございます。今後気をつけて参ります」

と謝罪した。

「嫁呼びは差別的な意味合いがあるので使うのやめた方が良いですよ」

「アツギがあんなことなったばかりなのに、どうして配偶者を見下す表現をして自ら炎上しに行くの?頭悪い…」

「以前は問題なかった言葉が許されなくなるというのは、自然なことです。例えば看護婦という言葉は女性蔑視に繋がるということだったと思いますが、現在は使えませんね」

といったリプライにタビオが反応した。

 

「アツギもそうだか、フェミニストを営業妨害で訴えて」

 

「嫁」がどうして女性差別に当たるのか。「フェミニスト」を自称する人たちのブログやツイッターで検索してみると、「嫁」の字は「女」と「家」を足したものだから女は家で家事、育児をするものだと決め付けている。また、歌手のさだまさしさん(68)のヒット曲「関白宣言」の歌詞は「お前を嫁に~もらう前に~」というものだが、「嫁にもらう」「嫁に出す」というのは女性を物として扱っているか、人身売買を連想させる。日本では1947年(昭和22年)の民法改正で戸主権が否定され「家父長制度」が廃止されたことが最大のポイントなのだという。

「家父長制度」というのは、1970年にアメリカの活動家、ケイト・ミレットの「性の政治学」と、シュラミス・ファイアーストーンの「性の弁証法」によって「ラディカル・フェミニズム」が生まれ、この「家父長制度」こそが男性による女性の支配システムであり、結婚した女性は家を出て夫の家に「嫁ぎに行く」、という「奴隷」のような状態と認定、そこで使われた言葉が「嫁」なのだそうだ。

 

とはいってもそれは一部の人たちの心情・思想であり、日本において「嫁」がこの頃よく使われるようになったのはアニメ、マンガ、ゲームなどのサブカルチャーの盛り上がりが背景にある。好きなキャラクターを「〇〇は俺の嫁」などの言葉遊びがいい例で、「〇〇は俺の嫁」という場合は、見下したり物として扱っているのではなく、神や偶像への「崇拝」に近い。今回問題となったツイートを見ても、明らかにそれと同じだ。

そのため、「嫁」という文字を使うな、ということには圧倒的に反発する声が多く、

「嫁でもおかしくない 嫁って旦那の上司的役職やろ笑」

「嫁って書いて王って読むのを知らないのか?」

「本当に愛している人の呼称を他人が決めつけるのは頭がおかしいなぁーって」

「またフェミニストがとんでもないクレームを出してるようで…。 嫁が女性蔑視って言葉狩りもここまで来ると怖いですね…。どうかお気になさらず」

「アツギさんの件もそうだか、もはやフェミニストは営業妨害で訴えていいレベル」

などといったことが「靴下屋」公式ツイッターにリプライされている。

 

(リンク)

小学館公式HP「佐々木倫子」コーナー

https://comics.shogakukan.co.jp/book-series?cd=24803

「靴下屋」公式HP

https://tabio.com/jp/