「少年ジャンプはワンピに忖度したに違いない」、そう囁かれたのが2020年11月25日。「鬼滅の刃」最終巻(23巻)の初版は「395万部」と報道されたからだ。国内最高記録は「ONE PIECE」(ワンピース)の405万部。あえて10万部減らしワンピに花を持たせた、という予想だ。

これに怒ったのは「鬼滅」ファン。記録が欲しいわけではなく、今でも売れ過ぎて品薄が続く「鬼滅」の単行本、最終巻が395万部という少なさでは、「買えるかわからない」というのだ。そんな中、「東京スポーツ」が29日、「出版社側の言い訳」のような記事を配信したため、「やっぱり忖度だ!」などとネットがヒートアップすることになった。

22巻は初版370万部でも買えなかった人が続出した

「ワンピース」は2015年に「最も多く発行された単一作家によるコミックシリーズ」として3億2086万6000冊(2014年12月時点)がギネス世界記録に認定。さらに日本国内の初版発行部数記録を次々に塗り替え、第67巻(2012年8月発売)の初版発行部数は405万部と現在も国内史上最高記録を保持している。ワンピ掲載の「少年ジャンプ」を発行する集英社は常々、「世界一売れている漫画」を強調してきた。

ところが、である。「鬼滅の刃」は空前のヒットで累計発行部数が19年12月4日の時点で2500万部以上だったのが第19巻の発売時(20年2月4日)に同4000万部以上となった。第20巻の発売時(5月13日)は同6000万部以上、第21巻の発売時(7月3日)は同8000万部を突破したと集英社が発表。最終巻の第23巻(12月4日)で同1憶2000万部突破(電子版を含む)と公表されたのだが、最終巻の初版は395万部なのだ。前巻の22巻(10月2日)は370万部でありこの時に何が起こったのかと言えば、「事前予約をしても買えない」であり、書店も「入荷日未定」が続いた。こうした流れでいえば、ファン垂涎の特典まで付いている最終巻の初版が405万部でも足りないことが予想され、

「ワンピの記録を抜かないよう忖度された結果、また買えない人が続出する」

という悲鳴が上がったのだ。

東スポ「重版で400万部超えとニュースにすればオイシイ」

なぜ395万部なのか。ネットではワンピに対する忖度以外に、ワンピの記録の405万部は当時の印刷所の最大キャパであり、現在はコロナ禍の影響などで稼働力が落ちていて395万部が限界なのだ、という想像も巡らされた。

そうした中、29日に配信された「東京スポーツ」の記事がファン達を唖然とさせた。

「ワンピースに配慮?『鬼滅の刃』最終巻初版395万部の『妙』」

というもので、出版関係者の「暴露話」が掲載されている。大手出版社の幹部社員の話では、初版部数は市場調査と販売店からのオーダーで分析され、その結果が395万部だった、としている。中堅社幹部は、

「話題作りするなら、初版395万部でいっておいて、重版かけて400万部超え。そこで再びニュースにするのがオイシイやり方だと思いますね。『重版』というワードは『売れている』という印象を植え付けますから」

と語ったという。

「この忖度はワンピにも鬼滅にもマイナスにしか働かない」

これに対しネットでは、

「ひどい言い訳だ」

「普通に410万部を初版にしてジャンプ過去最高記録、と宣伝して、その後に重版かけてまた宣伝した方がいいだろ」

「つまり印刷所は初版をもっと刷れたということだよな。そうなるともう忖度しかありえなくなるんだが」

「1〜22巻をまだ手にできてない人も多いだろうから23巻、買えるのかなあ。もっと最初から部数増やして欲しかった」

などといった書き込みが出た。

また、

「こんな忖度をしてもワンピにも鬼滅にもマイナスにしか働かないのに」

「これで得するのは記録を守れた尾田先生と、初版の部数が絞られたことで価値が高まった転売屋だけ」

というのもあった。

(リンク)

集英社「週刊少年ジャンプ」公式サイト

https://www.shonenjump.com/j/

ONE PIECE.com(ワンピース ドットコム)

https://one-piece.com/