自民党総裁選に出馬を表明している石破茂衆議院議員(63)が、総裁選挙に世界的大人気の任天堂ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」を活用すると2020年9月6日に発表したところ、ネット上で「政治利用は規約違反だ!」という声が多数出たため、発表後まもなく「利用は一旦停止する」と同ソフトの利用を取り下げた。
確かに任天堂の利用規約は「政治的利用はできない」となっているが、アメリカではバイデン元副大統領(77)陣営が米大統領選に利用している。NNJニュースが任天堂に「石破氏は利用を辞めるべきなのか」話を聞いた。
バイデン氏は9月1日から大統領選で「あつ森」の「選挙利用」
「あつまれ どうぶつの森」(あつ森)は任天堂が2020年3月20日に発売したニンテンドースイッチ用ゲームソフトで世界的な人気を獲得し、任天堂公式HPによれば20年6月末時点で2240万本売れている。プレイヤーは自分そっくりのアバター(キャラクター)を作ることが可能で、無人島に「移住」し、動物たちと交流したり、自分好みの家や家具を置いたり、島を住みやすい環境にしていく。さらに、ほかのプレイヤーの島へ行ったり、プレイヤーを自分の島に招待することができ「結婚式」なども開くことが可能だ。
こうしたプレイヤー同士の交流が可能なためリアルに近い「友達」も増やすことができる、コミュニケーションツールでもあるわけだ。
これに目を付けたのがアメリカの民主党候補、バイデン元副大統領陣営だ。米大統領選の「選挙利用」を20年9月1日から始めた。ゲーム内のバイデン氏宅の庭に、Team Joe(チーム・ジョー)」など4種類のキャンペーンロゴのプラカードを公開し、「あつ森は、世界中のコミュニティーを結びつける強力なプラットフォームだ」「支援者とつながるエキサイティングな場所」
と語った。
石破陣営は20年9月6日に「あつ森」に「いしばちゃん」なるアバターを登場させ、選挙戦に使う、と発表した。バイデン氏のモノマネと揶揄されたが、別の理由で、発表後まもなく、「この計画は一旦停止する」ことになった。
「ニンテンドー」の規約で「政治的、宗教的な主張」は禁止
実は、バイデン氏の「あつ森」利用が報道されたときにすでに、こんな意見が出ていた。
「ヘー、あつ森で大統領選ねぇ、大統領選!!!!?????」
「任天堂何なのよ、もうゲームの枠通り越してるじゃん」
のほかに、
「規約も守れないアホだったかバイデンくん、最低だな」
「『次期大統領候補のバイデン氏、ニンテンドーネットワーク利用規約違反』ってマスコミに報道されてほしい」
「規約」というのは、任天堂のゲーム機やソフトを使用する際の利用規約で、
「ニンテンドーネットワーク利用規約」の6条、15項目にコンテンツの共有または送受信等ができないものに「政治的な主張を含むもの」とある。また、「ニンテンドーアカウント利用規約」の「禁止事項」(20)の(b)に、「政治的または宗教的な主張を含むもの」と記載されている。これにバイデン氏が違反しているとの主張だ。
任天堂サイド「特に問題視することではなかった」?
そのため石破氏が選挙活動に「あつ森」を使うと発表したところ、ネット上で同じ反応が起こった。
「そもそも、政治的利用を禁じられてますよね」
NNJニュースは20年9月7日午後2時に任天堂に「石破氏はやってはいけないことをやろうとしたのか?」「バイデン氏はなぜ『あつ森』で選挙活動を続けているのか」について取材した。
任天堂広報は、「ニンテンドーアカウント利用規約」の「禁止事項」に、「政治的または宗教的な主張を含むもの」がある、とした。ただしこれはユーザーに納得していただく事項であり、任天堂がこの規約に則ってユーザーと個別にコンタクトしたり、任天堂独自の判断をユーザーに伝えたりするものではない、という。そのため、
「今回の件についてはお話しできることはありません」
ということだった。
取材を通じたニュアンスでは、石破氏やバイデン氏が「あつ森」を使用し「大炎上」を引き起こしたことに驚いていて、このレベルならば「政治利用」なのか、ゲームを楽しんでいるか、どうかの判断は微妙。数千万島はあるだろうバーチャルの島の一つで選挙活動をしたとして、それがゲームの政治利用としてどれほどのものなのか。広報のコメントにもあるように「お話しできることはない」というのが結論なのだろう。だだし、石破氏サイドとしてはこれだけ「大炎上!」になったため、「あつ森」の利用は諦めるしかないのだろう。
(リンク)
任天堂「あつまれ どうぶつの森」公式HP
https://www.nintendo.co.jp/switch/acbaa/index.html
石破茂公式ブログ
ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com