GLAYが「道立公園内でライブ映像を無許可撮影」は大誤報だった　しかしNHKや共同通信、訂正も謝罪もなし

人気ロックグループ「GLAY」が函館市恵山の道立公園内で「ライブ映像を無許可で撮影しYouTubeに公開した」ため、北海道が行政指導をすることが分かったーーーそんな記事は全部デタラメだったとし、函館新聞は2020年9月2日に誤報の経緯と謝罪文を掲載。4日には工藤壽樹函館市長が「GLAYの名誉が大きく傷つけられた」との意を表した。

実は、函館新聞の報道をきっかけにNHKや共同通信といった大手メディアが後追い記事を掲載しているが、いまだに記事の削除もお詫びもないまま。ネットで「日本の報道は終わっている」といった批判が噴出している。

大手メディアが追随して記事を掲載

函館新聞が2020年8月18日付の社会面に掲載しネット配信したGLAYの記事のあらましはこうだ。

「8月12日にYouTubeで公開された『GLAY野外無観客ライブ in函館・恵山』という無観客のコンサートは恵山道立自然公園で撮影されたが、この撮影は道に対して申請や相談がなかったものであり、ステージなどが無許可で設置された。そのため道は行政指導をする方針だ」

こうしたGLAYサイドの「不祥事」に大手メディアも飛びつき、似た内容の後追い記事をネット配信したことから大きな話題に発展した。GLAYボーカルのTERUさんは驚き、8月19日に自身のツイッターで、

「北海道庁からご指摘頂いた『無許可』で製作会社が行政指導を受けるのであれば、恵山でのライブ映像の配信は不適切な映像として停止すべきだと思うのですが、どうなんでしょうか？このまま配信してても良いものなのでしょうか？」

と戸惑いを見せた。ネット上では既に、こういった記事は「誤報だ！」との指摘が出ていた。というのも、

「ゲリラライブじゃあるまいし」

「撮影時、恵山の管理会社のひと立ち会ってましたけど、きちんと許可取らないと普通できないんじゃないですか？」

「道担当者に確認したら、申請はいらない、って返答しているのなら、行政指導はおかしい」

など掲示板に書き込まれていたからだ。

「GLAYの名誉が大きく傷つけられた」

函館新聞は8月21日付で訂正とおわびの記事を掲載し、9月2日に改めて誤報に至った経緯と謝罪文を掲載した。それによれば、「申請や相談はなかった」との記述は誤りだった。ライブビデオ制作会社が事前に函館市を通じ、国有林の入林などについて市恵山支所から許可申請に関する助言を受け、申請がなされ、許可されていて、工作物の設置についても「相談はあった」。道の行政指導については、

「8月27日までに、道が制作会社に通知書を送付し、その中では、工作物の解釈に誤解があったことが一因」

と指摘しただけで、この件の行政対応については完了している、とした。つまり当該記事は全部デタラメだったわけだ。

どうしてこうなってしまったかといえば①記事化を急ぐ余り、周辺取材を進める前に拙速に記事を掲載した②慎重に取材をしていれば防げた事態③編集局としては、記事のチェック機能が働かなかった、としている。そうなると函館市も「被害者」になる。工藤壽樹函館市長は9月4日付の「函館市長コラム」で、こう綴った。

「一部メディアの取材不足による一方的な誤った報道で、GLAYの名誉が大きく傷つけられ、メンバーや関係者、撮影に携わった方々が悔しい思いと強い憤りを感じ、そして何よりもファンの皆様に多大なご心配をおかけしたことは、地元としてとても残念なことと考えています」

そして、

「ＧＬＡＹのメンバーには彼らの音楽を通じて、函館のみならず北海道全体に多大な貢献をいただいており、その活動は、ファンに夢と希望を、そして、市民には誇りと勇気を与え続けています。ＧＬＡＹの故郷である函館は、これからも変わらず彼らの活動を力一杯応援してまいります。ファンの皆様、よろしくご支援ください」

さて、函館新聞の謝罪に人々は納得したのだろうか。実は、函館新聞の後追いをし、同じような記事を出したNHKや共同通信といった大手メディアは記事の削除も謝罪もまだしていない(9月5日現在)。