1分間の格闘技イベント「BREAKING DOWN(BD、ブレイキングダウン)」に出場し名を馳せた元アイドルの後藤祐樹さん(37)。千葉県八街市議選の投開票が8月27日に行われ、2位の1415票を獲得し初当選した。
「BD」ファンは大喜びだが、多くの人はタレント後藤真希さん(37)の弟。2007年に強盗傷害で逮捕され懲役5年6月の実刑判決を受けた「犯罪者」のイメージしかない。「彼をなぜ当選させた？」など、八街市民への批判で溢れかえることになった。
2018年頃、妻と飼い犬と移り住む
後藤さんは2000年に2人組アイドルグループ「EE JUMP」ユウキとして芸能界デビュー。ところが暴行事件、キャバクラでの未成年飲酒が発覚するなど度重なる不祥事で2002年に芸能界を引退する。そこからまた様々な事件を起こし、全身の入れ墨は裏社会の人間を彷彿とさせた。2005年5月、川越少年刑務所に収監。2012年に仮釈放されるが働き口が見つからず、親戚を頼ってアンテナ工事やダクト(風導管)工場で働き、現場作業で生計を立てる。その工場のある八街市に2018年頃、現在の妻と飼い犬と一緒に移り住んだ。
朝倉未来選手との出会いと「BD」出場
芸能界は引退したが、「ゴマキの弟」としての需要はあった。テレビの「あの人は今」企画、本の出版、雑誌に連載など。そして2021年に自身のYouTubeチャンネルを開設し、八街市での生活の配信と共に、芸能活動再開を発表した。
転機が訪れたのは2021年11月のABEMA TV企画「朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円」出場。朝倉選手(30)に瞬殺KOされるも繋がりができる。「BD」に誘われたのだ。当時の「BD」は知名度も人気もさほどではない。そんな「BD」の第4回大会(22年3月21日)。「1000万円企画」オーディション方法を取り入れた。出場者同士の煽り合い、これまでの人生の紹介。これが激しく受け本選の視聴者数が爆上がりした。第4回出場者には「井原涼」「久保田覚」「こめお」「おせーよ山田」らがいる。そこに後藤さんも招かれた。
第6回大会(22年11月3日)にも出場し第4回と合わせ2連勝する。喧嘩自慢のヤンキー、元ヤンキーはそんな後藤さんらを見て出場を渇望した。自分の更生した姿を見せたい、知名度を得て夢を掴みたい(ブレイキングドリーム)が目的となった。
暴力の世界にいた人、嫌悪感しかない
「BD」を観てきた人にとって、後藤さんはブレイキングドリームを達成した人。更生が証明され、芸能界に復帰、注目の的になった、そんな憧れの存在。だから「BD」ファンは後藤さんの八街市議選2位当選に大喜びだ。
「BREAKINGDOWN効果とかスゴイ」
「更生して今まで真面目に頑張ってきたことも知ってる 近年ではBDにも紳士に取り組んでいた」
「この方の試合にかける想いと勝利に向けた努力は生半可なものでは無いというのを感じた」
「アウトロー、ブレイキングダウンから、もっと政治家目指して欲しい」
そんな応援の声が挙がった。ただしこれは全体の感想のほんの一部。一般的な反応は「ふざけるな！」で、「彼をなぜ当選させた？」。そしてその怒りは八街市民への批判となり溢れかえっている。
「気に入らん議員を威嚇したり、ぶん殴りそうな奴だな。BDみたいな暴力の世界にいた人間が、民主主義の政治家が務まるんかいな？ 嫌悪感しかないな」
「悪夢としか言いようがないです。ブレイキングダウンの罪は大きいです。有権者のレベルが低すぎて選挙やってる意味が全くない！」
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