東京オリンピックの選手村に浮世絵のプリントが入ったコンドームが無料配布される。「分けわからん」「これがクールジャパンか?」「この国に生まれてこんなに恥ずかしいと思ったことはない」などと2021年5月末からネットで話題になっている。
NNJニュースが6月3日、メーカーのオカモト(本社:東京都文京区)に取材したところ、「最初から配る予定はありません」ということだった。ただし、コンドーム自体に文字や図柄がプリントできる「デザインコンドーム」の配布予定はあるようで、どのような図柄かは明かせないという。
訪日外国人客向けの販売を意図したもの
ネットで「浮世絵」コンドームが選手村で配られる、とのデマは、2019年6月3日に放送されたテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」の画像を使用し流れた。当時は東京五輪でのHIVや梅毒といった性感染症の予防をどうするかが論じられていて、オカモトは抗ウイルス作用を持つジェル剤を使用した新商品を開発するとともに、「浮世絵」などがプリントされたコンドームの発売も予定している、と報じたもの。抗ウイルス作用を持つコンドームと「浮世絵」コンドームは別であり、「浮世絵」は主に訪日外国人客向けの販売を意図している。それ以外は日本人に親しみやすい図柄にすることで、コンドームを身近で使いやすいものにし、感染予防に役立ててもらおうという計画だった。それがネットではなぜか「浮世絵」コンドームが選手村で配られる、となった。
ハグさえ禁止なのにコンドームを配るの?
オカモトの広報担当者によれば、最初から選手村で配布するコンドームに「浮世絵」コンドームの予定は無かったという。事前に五輪運営サイドとの調整があり、そこの「規約」に合わなかったからだそうだ。ただし図柄がプリントされた「デザインコンドーム」の配布予定はあるようで、どんな図柄になるかは明かせない、という。
「デザインコンドーム」は同社が2019年12月から本格発売を開始。現在はAmazonで購入することができ、「般若」「竜」「鶴」といった図柄があり、2個入りで税込み1100円となっている。
開催が予定されている東京五輪では大会組織委員会が16万個のコンドームを無料で配布する。選手村の診療所や自動販売機入手できるという。コロナ禍の中、コンドームを使うどころかハグさえも禁止になるという情報もある。組織委は、
「母国に持ち帰ってもらい、性感染症予防の啓発に協力してもらいたい」
としている。お持ち帰り前提なら、「浮世絵」のような多少ぶっ飛んだものがあってもよかったのかもしれない。
(リンク)
オカモト「デザインコンドーム」プレスリリース
https://www.okamoto-inc.jp/assets/files/1905
テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」のコンドーム紹介ページ