川淵三郎2020年東京オリンピック選手村村長(84)が、「無観客だったら日本でやる必要がなかった」と語った、と一部のメディアが報じたが、これは全くの誤報だった。

川淵村長は「無観客だったら開催しない方がいい」とずっと言ってきたがそれを「戒める」。世界のスポーツ関係者は日本に非常に感謝していて、日本はこの状況下で成功させたことを世界に示せる。感染者数を増やさずに、医療崩壊が起きなければそれで大成功だ、と語ったのだ。

世界からの「オリンピック開催ありがとう」に涙

川淵村長が、2021年7月17日のテレビ東京「FOOT×BRAIN」に出演し語ったもの。まず、ここ数か月胸を痛めていたのは、オリンピックを開催するか中止にするかの論争だった。新型コロナ感染者増加により日本国民から「オリンピックどころじゃない」という声が出るのは当然。しかし、オリンピックの中止を決めるのはIOC。IOCは今年3月の時点で開催を決定した。根拠となったのが10万人当たりの感染者数で、イタリアは230人、フランスは220人、アメリカは129人に対し日本は5.7人だった。開催が決まると五輪関係者は国内の「逆風」の中、相当な苦労をして準備を進めた。そして、スポーツディレクターの小谷実可子さん(54)の話に感動してしまったと、川淵村長は涙を流した。

小谷さんから、世界中のスポーツ関係者が「オリンピック開催ありがとう」「これは日本しかできない」という励ましと感謝が次から次へと寄せられている、という話しが出た。そこから「無観客だったら開催しない方がいい」という話しになる。

感染者の増加と医療崩壊が起きなければ大成功

「無観客だったら開催しない方がいいって、ずっと言ってきたんですよ」

スポーツイベントで一番必要なのは、優秀な選手と環境、そして何といっても観客だ、と思っていたし進言してきた。しかし、オリンピック開催に喜ぶ世界中の思い、そして懸命に開催準備を進めるスタッフ。こうしたものを目にするうちに、

「東京都でこれだけどんどん感染者数が増えているんでね、まぁそのことはあまり口に出さない方がいいなって、なるべく僕は発言することを戒めている」

という考えに変わった。「戒める」というのは、あやまちのないように注意を与える、という意味。

川淵村長はこう続ける。新型コロナ感染者が日本で拡大せず現状維持のまま無事でで終わったら、オリンピックやってよかった、日本人がオリンピックに協力できた、日本人はこういうことができる民族だ、ということを改めて世界に知ってもらうことができる。人数はともかくとして、とりあえず感染者数を増やさずに、医療崩壊が起きなければそれで大成功だと思う。

「今回はメダルの数ではなく、感染者がどう治まったのか。ゼロに近い国が優勝だ、くらいの。感染撲滅の気持ちをずっと持ったまま、各国が協力して終わらせたら。僕はともかく感染が広がらないように、医療が崩壊しないように、それを祈りながら村長の務めを果たします」

とした。「川淵三郎氏 東京五輪の無観客開催にチクリ『だったら日本でやる必要なかった』」(スポーツニッポン)2021年7月18日配信は間違いである。

 

(リンク)

テレビ東京「FOOT×BRAIN」川淵三郎オリンピック選手村村長出演

https://www.youtube.com/watch?v=0Ga4bU6F_tg

 

「川淵三郎氏 東京五輪の無観客開催にチクリ『だったら日本でやる必要なかった』」(スポーツニッポン)2021年7月18日

https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2021/07/18/kiji

/20210718s00048000455000c.html