卓球女子シングルス準々決勝で、伊藤美誠選手(20)に取材陣のカメラライトが当たり、伊藤選手が「眩しい」と審判にアピール、ライトを消させた問題。これがネットで「韓国メディアの妨害工作」と騒がれたが、実は日本テレビの情報番組「スッキリ!」クルーのうっかりミスだった、とネットニュース「デイリー新潮」が2021年8月5日に伝えた。
しかしこの記事が妙だ、との感想もある。というのも、「スッキリ!」のクルーが犯人だと「デイリー新潮」にタレ込んだのは日本テレビ関係者。そして、それを日本テレビ本体が認める、というスッキリな流れの作りだったからだ。
「あれは『スッキリ!』のクルーなんですよ」
「デイリー新潮」の「伊藤美誠に『妨害』ライト、韓国メディア犯人説が流布するも、ようやくわかった真相」によれば、日本テレビの関係者が「デイリー新潮」に、
「いえいえ、あれは『スッキリ!』のクルーなんですよ」
と打ち明けた、と書いている。それ証拠は、NHKの中継画像に森圭介アナ(42)が映っていて、他にも知った顔がある。スポーツ取材の勝手がわからずライトを点けてしまった。うっかりミスだ、という。その日本テレビ関係者は、たまたま気が付いた。あくまで一番組のクルーなため、日本テレビが会社として「事件」を把握しているのかは分からない。そして「デイリー新潮」が日本テレビに質問をする。すると、
「当該クルーが日本テレビの取材班だったことは事実で、関係者の指摘を受けて対応しました。日本テレビは今後もルールに則って取材を進めてまいります」
という答えが返ってきた、という記事だ。この記事が妙なのは、「登場人物」が全て日本テレビ。そして「たまたま気が付いた」というが、取材クルーの位置は決められていて、どの局が「ライトが眩しい」と注意されたかは一目瞭然だ。
「即謝罪することもできたのに、なぜしない?」
当の森圭介アナは8月4日、自身のTwitterで、
「悔やんでも悔やみきれないことをしてしまった時は、そのこと自体を忘れたくなってしまうけど、もうニ度とそんなことをしないように紙に書く。書かずとも胸に刻めばいいと言えるほど、自分を信用してない。書く。忘れないように、書く」
という意味深なtweetをしている。これについてフォロアーから、
「貴方ではなく、局として取材クルーがちゃんと声明を出してほしかったですね」
「即謝罪することもできたのに、そうすべきだったのに、最低だと思います。そのまま韓国のせいにでもしようと思ったのでしょうか。挙句、こういう意味のわからない謝罪風投稿。無責任な人間ですね」
といったリプか寄せられプチ「炎上」中だ。しかし、なぜこんな曖昧なtweetをすることになったのだろうか。NNJニュースがテレビ事情をよく知るスポーツライターに5日、話を聞いたところ、
「デイリー新潮の記事は、日本テレビと組んだ一種の謝罪記事の可能性がありますよ」
とした。
競技選手からライトの苦情はたまにある
というのも、テレビカメラのライトや、カメラのフラッシュが眩しいと競技選手からの苦情はたまにあるからだという。その時はライトを消せばいいだけ。観客がいれば、注意されたテレビ局はどこか、というのが分かるが、今回は無観客であり、他局のテレビクルーや取材陣は「たまにある」ことだから気に留めない。「スッキリ!」クルーもライトを消し、オリンピックスタッフに謝罪し、それで終わりだと思って帰って行った。ところが、対戦相手が韓国だったため、ネットは「韓国のカメラマン犯人説」で大騒動になった。全部済んだ過去のことと思っていた「スッキリ!」クルーは、今更自分たちだったと言い出せなくなった。ところが騒ぎが収まらず、いつか真実が発覚したら日本テレビの傷が深くなってしまう可能性がある。
「ケジメとして日本テレビ関係者の誰かが、知り合いのいるデイリー新潮に話を持ち掛けたんでしょうね。本社広報の公式コメントとセットで。記事が公開される前日に、森圭介アナが意味深なtweetでクッションを作った。これによって日テレへの批判が軽減するかどうか分かりませんが、それ以外はこの記事は考えられません」
とスポーツライターは語っていた。
(リンク)
日本テレビ森圭介アナウンサー公式Twitter
https://twitter.com/moritwi/status/1422932213243387912
デイリー新潮「伊藤美誠に『妨害』ライトの真相」