俳優の大杉漣さん(享年66歳)が亡くなってから2年半、ネット上では今でも「殺されたのではないか?」といった全くのデマと都市伝説が独り歩きしている。大杉さんの長男でフォトグラファーの大杉隼平さん(38)はTwitterで「死を予想したり、憶測で決めつけるのはやめて下さい」と呼びかけている。そのようなデマが生まれた背景には何があったのだろうか。

 

長男は「それを聞かれて家族はどう感じるかを考えてみて下さい」

 

大杉さんの長男の隼平さんは自身のTwitterで、大杉さんの死因についてネット上でデマが飛び交っていて、「真相は?」と聞いてくる人がいる、とし、

「父、大杉漣の死は他殺ではありません。またyahoo知恵袋で死亡日が当たったとあるようですが、人の死を予想するなんて絶対にあってはいけません。それを聞かれて家族はどう感じるかを考えてみて下さい。1人の命は重いものです」

とつぶやいた。

 

大杉さんが死亡したのは2018年2月21日。前日の20日はドラマ「バイプレイヤーズ」(テレビ東京系)の撮影を千葉・富津市内などで午後9時頃まで行い、その後、共演者らと飲酒交えての食事をした。体調が急変したのはホテルの自室に戻ってからで、大杉さんは出演者のグループLINEで腹痛を訴えタクシーで千葉県内の病院に運ばれた。しかし容体が回復することなく3~4時間後に共演者と妻らに看取られながら、そのまま帰らぬ人となった。所属委事務所は、

「弊社所属の大杉蓮が、2018年2月21日午前3時53分に急性心不全で逝去いたしました」

と発表した。

 

「5ちゃんねる」を中心に騒がれたのが「予言」だった

 

年齢は66歳と若く、これといった持病もなかった。日本を代表する名脇役の一人であり、誰もが知っている売れっ子の役者だっただけに、あまりの突然の死を信じられない人が続出した。「自殺説」を追ったメディアもあった。隼平さんは18年2月22日、

「父。大杉漣が他界しました。あまりに突然の事でまだ信じられません。最後に立ち会うこともできず、ありがとうございます。を伝えることもできませんでした。病院に連れていって下さった松重さん。遠藤さん、田口さん、光石さん、本当に親父は皆さんの事が大好きでした。ありがとうございます」

とtweetし、そこには大杉さんの早すぎる死を悼むリプライが数多く寄せられた。

ところが、である。この日に掲示板「5ちゃんねる」を中心に騒がれることになったのが「予言」だ。

どうして「予言」が見つかり「他殺説」が生まれたのかと言えば、これがいかにもな都市伝説の様相だ。

 

「テレビに出てる大杉さんはまだ死んでないです」

 

Yahoo!ジャパンに「知恵袋」というQ&Aサイトがあり、ここに2018年2月14日、

「大杉漣の死亡日は」

という質問が出た。当たり前であるが「まだ健在です」という回答がされたのだが、ここから「こじ付け」がネット上で始まる。質問への回答の締め切り日が大杉さんの亡くなった2月21日で、投稿者のID(現在は削除されている「hama0600」をアスキーコード(コンピュータやソフトウェアの標準文字コードの一つ)に変換すると「2018/02/21」になる。質問を投稿したカテゴリが「事件・事故」で、回答の一つに「テレビに出てる大杉さんはまだ死んでないです」があり、「テレビに出ている」という部分も怪しい、とし、これが「予言」ではないか、と騒ぎになった。

偶然にしては一致しすぎていると話題になったものの、「予言」であり、都市伝説が、なぜか一部で「他殺説」となり独り歩きをする。やがてこういうたわいもない、いい加減に生まれたという経緯を知らない人たちが「他殺説」を知って驚き、それが伝播することになってしまった。それだけ多くの人に愛された偉大な俳優ということなのかもしれない。

 

隼平さんの「死を予想したり、憶測で決めつけるのはやめて下さい」と呼びかけには、

「こんな事があってたなんて知らずに、ツイート読んで、悲しくてやりきれない思いで涙が出ました。 本当にあってはなりません」

「漣さんを看取っってくれた松重さんにも失礼な話です」

「静かに休ませてあげたいですね」

といったリプライが寄せられている。

 

(リンク)

映画.comの大杉漣さん紹介ページ

https://eiga.com/person/22100/