2020年11月10日に甲子園球場で行われた巨人VS阪神公式戦は阪神・藤川球児投手(40)の引退試合でもあった。藤川投手が投げた巨人最後のバッター、重信慎之介外野手(27)がセカンドフライで打ち取られると、テレビで解説をしていた掛布雅之さん(65)が「重信君はわかっていませんね。もうちょっとあるだろう」とコメントした。これがネットで「八百長しろと言うのか!」などと大騒ぎとなった。
掛布さんの発言は正しかったのか。元プロ野球選手の長嶋一茂さん(54)は、「公式戦であっても主役に花を持たせるのはプロ野球界の慣習です」と語った。
掛布が「わざと三振をしろ!」と言ったとし大問題化した
9回に登板した藤川投手は代打の坂本勇人内野手(31)、さらに代打の中島宏之内野手(37)を150キロ近い渾身のストレートで連続三振にとった。そして出てきたのが重信選手だった。渾身のストレートは中途半端なバッティングを誘いセカンドフライに打ち取り現役最後の投球を終えた。そしてテレビ解説の掛布さんがこう言った。
「ただ重信君はちょっと分かっていませんね。若いですね。もうちょっとあるだろって」
これがネットで「わざと三振をしろ!と言っている」として大問題化した。
「やっぱり八百長あるんですねwwwww」
「スポーツに忖度はいらねーよ」
「坂本さん思いきりバット縦に振ってたやんけ、あれがベテランの風格よ」
などといったことが掲示板に書き込まれた。
実は、掛布さんは重信選手に「三振だけ」を求めていたのではない。それを隣で聞いていたアナウンサーは大笑いして、
「プロの引退にまつわる流儀というのは色々ありますよね」
と返したのに対し「流儀」について、もっとバットを力強く振って大きなフライを上げ華々しく終わるか、次のバッターが若き4番の岡本和真内野手(24)だったため、重信選手が四球を選ぶか、原辰徳監督(62)が重信選手を「申告敬遠」させ、藤川投手と岡本選手を対決させる方法もあった、と語っていたのだ。そして、「重信君に申し訳ないんですが」と何度も念を押していた。
プロ野球界には主役に花を持たせるという「慣習」がある
11月15日放送のフジテレビ系ワイドショー「ワイドナショー」では、
「批判の声が出たのは、引退するピッチャーに花を持たせるため最後のバッターは三振するのが暗黙の了解になっているためだとされています」
というアナウンスの後に今回の騒動を取り上げた。
松本人志さん(57)は、お笑い界では「空気を読め」というのがあるが、
「スポーツに求めるのはどうかなぁ。一生懸命やることが一番かなぁ」
と話した。
長嶋さんは「総論」と「各論」がある、とした。
藤川投手は最速149キロという豪快なストレートを投げるまでにパフォーマンスを上げて登場し、巨人のレジェンドを連続三振にし、最後は凡フライで打ち取ったことで球場にいた人に感動を与えた。このようにみんなが喜んだ状況下において、
「これに批判があるのがよくわからない。白黒はっきり付けたがるのは危険な状態だ」
とした。そして、藤川投手はこの引退試合に賭けており、原監督が坂本選手、中島選手を代打に出したのは「演出」だという。
重信選手については、
「真剣勝負でよかった、とは思うが、前に打席に立った大先輩が三振している。空気を読めというレベルではなく、俺どうしたらいいんだろう?と、自分がどうすればいいか分からなかった。チームは『三振して来いよ!』とは言えない」
と語った。
また、「真剣さがない」という人がいるが、真剣にやっているからこそ149キロという球を投げることができそこに対峙できる。プロ野球界には伝統的に主役の人には花を持たせるという「慣習」があるし、
「正論からちょっとズレたところに興行というか、引退試合という感慨深い1シーン、思い出としてこういう結果になるのは当たり前だ。両チームが演出をした結果がこれだったんです」
とした。
(リンク)
日本野球機構(NPB)長嶋 一茂 、個人年度別成績
https://npb.jp/bis/players/41343866.html
日本野球機構(NPB)掛布雅之、個人年度別成績
https://npb.jp/bis/players/11513849.html