春休みアニメ映画の定番「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021」の公開延期が2021年1月29日に発表された。1月23日から公開予定だった「シン・エヴァンゲリオン劇場版」も延期されている。
「エヴァ」の延期発表では「コロナ禍だからしょうがない」といった意見が大半を占めたが、それに「ドラえもん」が続いたため、怒りを抑えられない人も出た。その矛先はこうだ。「なぜ鬼滅は上映してるんだ!!」。
「鬼滅の刃は非常識極まりないですね」
「この度、2021年3月5日(金)より公開を予定しておりました『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』につきまして、新型コロナウィルスの感染状況に鑑みまして、公開を延期させていただきます。作品の公開を楽しみにお待ちいただいていた皆様には誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げます」
1月29日、配給会社の東宝は公開延期を発表した。東宝といえば超ヒット映画として現在も上映中の「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」を配給している。そのためかこんなコメントがネットに出た。「ドラえもん」が延期されたことでの八つ当たりであり、また、「エヴァ」など延期される作品が増えた事での閉塞感から、
「『鬼滅の刃無限列車編』があれほどコロナ禍でも上映しているのに、なぜ『ドラえもん』はやらないのか。意味不明」
「ドラえもんはさすがだね。それに比べて鬼滅の刃は擁護のしようがない」
「そう思うと鬼滅の刃は非常識極まりないですね」
「鬼滅クラスター」
背景に「劇場版ポケットモンスター ココ」興収不振
「鬼滅」の興行収入の話になると、観た回数やこれから何回観に行くとか、「煉獄さんを400億の男にしよう」などと盛り上がる。さらに集客のための特典配布にも肯定的だ。日本映画史上最高の興収を短期間で達成し、映画館に人が押し寄せている。なぜ「鬼滅」は上映し、「ドラえもん」は延期なのか。これは「差別だ」という人もいる。
「本当に映画鑑賞がリスクあるなら、鬼滅の上映館の複数で、集団感染が発生していたと思いますけどね」
「鬼滅」と「ドラえもん」はどこがどう違うのか。
NNJニュースが映画館関係者に話を聞いたところ、「ドラえもん」の延期が決まったのは同じようにファミリー層をターゲットとした大人気アニメ映画シリーズ「劇場版ポケットモンスター ココ」の業績不振だという。
「ココ」は当初2020年7月10日公開予定だった。それがコロナ禍の影響で延期され公開が同年12月25日になった。初週の興収は2億7600万円。これは前作「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」(5億5300万円)の約50%減で、このままでは最終的に「ポケモン」映画シリーズで最低の興収になるという。
現在の映画館の席では親と子が「分離」される
どうしてこうなったのか。本来なら安定した高収益が得られるシリーズなのにである。
「興収が低迷しているのは、親御さんがコロナ感染を警戒し冬休みでもお子様を外に出さないようにしていることと、映画館の場合はコロナ対策として1席開けて座っていただきますので、親御さんとお子様が『分離』された状態になります。それに抵抗があるということです」
と説明した。そのため「ドラえもん」は「ココ」の二の舞にならないよう、親子が並んで座り観ることができる時期に延期するのだろう、という。
「鬼滅」に関しては、「ドラえもん」や「ポケモン」に比べ圧倒的に親子連れは少なく、年齢層も高いためコロナ禍であっても高興収が持続している。
「あれだけのヒット作を『コロナ禍だから一時中止します』などとやったらドラえもん延期と比較にならないほどの、とんでもないバッシングを食らってしまいますよ」
と話していた。
(リンク)
「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021」公式HP
「劇場版ポケットモンスター ココ」公式HP