DHCテレビの情報番組「ニュース女子」の終了を告知したのが2021年3月16日放送の朝のネット生放送番組「虎ノ門ニュース」だった。その夜の「ニュース女子」と公式Twitterで告知があったものの、DHCテレビ本体としての告知は無い。
MXテレビで放送が終わった2018年は、朝日新聞など多くのメディアが「終了」を伝えたが、ネット配信が中心になったせいか、今回は地方紙の沖縄タイムス、琉球新報が伝えるに留まっている。しかも2紙ともに「勝ち誇った」ような書き方だ。
沖縄基地建設反対運動の取材が転機に
「ニュース女子」は15年4月にCS放送「DHCシアター」で放送がスタートし、同年10月に東京MXテレビなどの地上波に進出した。東京MXテレビの看板番組として知られたが、製作はDHCサイドが行い、地方局の放送枠を買って放送する、という形だった。およそ30もの地方局で放送された。
転機となったのは2017年1月2日の放送第91回。沖縄・高江のヘリパッド建設工事対運動を現地取材した内容で、これがBPO(放送倫理・番組向上機構)の審議入りとなった。また番組内容が名誉棄損に当たるとして、市民団体「のりこえねっと」は2018年7月31日にDHCテレビと当時の司会者の長谷川幸洋さん(68)を東京地裁に提訴している。MXテレビはこうした騒動から、責任所在の確認のため直接番組制作に関わろうとしたが「事実を報道している」というDHCと相容れるはずはなく、DHCはMXと縁を切る。DHCがMXテレビに支払っていた広告費はこの時、MXテレビ全広告収入の11.5%もあったとされる。MXテレビでの最後の放送は2018年3月26日。他の地方局からもDHCは手を引き、地上波は一部でネット配信が主な放送枠となっていく。
「終わらないで」「1番好きな番組だった」という声
番組の終了が最初に発表されたのは2021年3月16日生放送の「虎ノ門ニュース」。そして同日放送の「ニュース女子」では「放送は今日をいれて3回」とした。この放送終了後に番組公式Twitterは、
「皆さんから『終わらないで』『寂しい』『1番好きな番組だった』といった声をお寄せいただいて、感謝するとともに、改めて愛されていた番組だったことを実感しています」
と挨拶した。
この番組終了を取り上げるメディアは一部を除き殆どなかった。あれだけMXテレビでの「終了」に騒いだのに、である。それはネット中心の番組になっていること。そして、DHCが終了について何のリリースもしていないからだ。
一方で「勝ち誇った」ように大きく報じるメディアもある。先の沖縄基地建設問題で敵対関係にあった沖縄の地方紙だ。
DHC「番組の終了理由については公表していない」
琉球新報は3月18日に電子版で、
「『ニュース女子』3月で配信終了 沖縄の基地問題番組で『人権侵害』」
という見出しを掲げ、
「東京MXテレビはBPO意見を受けて謝罪し、18年にMXテレビとしては放送を終了した。だがDHC側はネット配信や一部地方局で番組『ニュース女子』の配信は続けていた」
沖縄タイムスは30日の電子版で、
「沖縄の基地反対運動をめぐりデマやヘイトスピーチを放送して問題になったテレビ番組『ニュース女子』が月内で終了する。制作会社側は理由を説明していない上、最新の回でもなお事実誤認を放送している」
と、言われ放題だ。
このままでは沖縄基地の例の放送が番組終了の原因として定着しかねない。NNJニュースは4月16日にDHCテレビに取材したところ、
「番組終了は急遽決まったわけではありません。なぜ終了したのかについては公表していない」
ということだった。「ニュース女子」に代わる新番組を放送する予定は無いという。
(リンク)
「ニュース女子」公式Twitter
https://twitter.com/dhcnewsgirls?lang=ja
沖縄タイムス
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/729706
琉球新報
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1288713.html
DHCテレビ