2021年5月25日放送のテレビ朝日「報道ステーション」が朝5時まで営業している大阪の居酒屋を紹介。店主が売り上げが前年比で300%と儲かっている、と語った。大阪は緊急事態宣言下にあり、居酒屋には休業要請をしている。ネットでは「番組で店を批判しなかったのはなぜ?」と首を傾げる人が出た。その翌日の26日、朝日新聞は社説で「オリンピック中止を求める!」と書いた。「報ステ」のニュースは朝日新聞の記者が出向し担当している。

外出を煽って感染拡大を止めたくない?

「報ステ」は緊急事態宣言延長が不可避になっている状態で「休業要請中も『朝まで営業』なぜ?」との特集を組み、大阪の居酒屋店主のインタビューを流した。店は朝5時まで営業していて、夜中まで予約客で満杯。

「売り上げがで300%と儲かりました」

と店主は語った。さらに、他店では一度閉店した後にこっそりと開店し営業する店もある。協力金をもらって「闇営業」しているところもある。休業要請は、

「抜け道だらけだと思います」

とした。ここで視聴者が不自然に感じたのは、このVTRが流れた後に、スタジオでこの店に対する批判が出なかったこと。そして、テレビでこんな放送をすれば店主が袋叩きに遭うのは確実であり、なぜ店主は出演したのか?というものだった。そのためTwitterや掲示板にはこの店主への批判より、「報ステ」の報道の怪しさに対する感想が出ることになった。

「報道ステーション。マジメに時短営業している店が見たら、どう思うか考えてますかね?」

「『前年比300%超えですw儲かってますガハハ』って放送してたら真似する所出てくるだろうなあ」

「要請に応じない店の宣伝番組だよね。外出を煽って感染拡大を止めたくないふざけたテレビ局だわ」

「分断する為に面白おかしくこの店を紹介するテレビ局にも非常に問題があります」

などだ。

「偏向し過ぎている社説の言い訳」?

「報ステ」には朝日新聞の記者が出向、ニュースを担当している。その朝日新聞は翌日26日に社説「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」と書いた。大手メディアがオリンピック開催について、中止の意思表示をしたのはこれが初めてだ。

「この先、感染の拡大が落ち着く保証はなく、むしろ変異株の出現で警戒の度は強まっている」

「誰もが安全・安心を確信できる状況にはほど遠い。残念ながらそれが現実ではないか」

などと書いている。「報ステ」は朝日新聞の主張するオリンピック中止を前進させるため、ああいった特集を組んだと感じた人も出た。一方で朝日新聞は26日、「お知らせ」を出した。オリンピックのオフィシャルパートナーの活動を続けて行く、というもので、

「朝日新聞が五輪に関わる事象を時々刻々、公正な視点で報じていくことに変わりありません。社説などの言論は常に是々非々の立場を貫いています。今後も引き続き紙面や朝日新聞デジタルで、多角的な視点からの議論や提言に努めます」

という。これを「偏向し過ぎている社説の言い訳」と考えている人もいる。

 

(リンク)

「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」(朝日新聞社説)

https://www.asahi.com/articles/DA3S14916744.html

 

「オリンピックのオフィシャルパートナーとして」(朝日新聞)

https://www.asahi.com/corporate/info/14357747